「手負いの探偵団」・対面編
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「快斗、私もう快斗と一緒にいられないの…」
「なっ、何でだよ!?名前っ!!」
「ごめんね…快斗、さよなら」
その言葉とともに、名前の身体がスッ…と、快斗の目の前から消えていく。
「名前!!」
快斗は名前の名前を呼びながら必死に手を伸ばすが、無情にも快斗の手は名前に届かない。
「名前っ!!」
「頼む、待っててくれ!名前ーっ!!」
card.281
「名前っ!!」
---ガタガタガタ!
「え、何!?」
「うぉっ!?おいおい…急にでけぇ声出すなよ、快斗」
「バ快斗、うるさーい!」
「…へ?」
快斗が聞き覚えのある声のした方に目を向けると、そこには突然自分の名前を大声で呼ばれて目を丸くしている名前の姿。そして状況が把握できないまま、ゆるりと周りを見渡す呆れたように自分に目を向ける林達の姿がある。
「…名前ちゃんっ!!良かった、無事だったんだ!!」
----カバッ!!
「わっ!?ちょっと…いきなり何言ってるの?快斗よく分からないけど、今はとにかく席に戻った方が…」
突然、涙を流さんばかりの勢いで飛びついてくる快斗。名前はそんな快斗を何とか受け止めつつも、慌てて制止する。
「その通りだ、黒羽」
ふいに響いた呆れたような声に、快斗はくるりと振り返る。そこには、呆れたように自分を見つめる担任の中村の姿。
「どんな夢を見たのか知らんが…そもそも、夢を見ている事が問題だ」
「……え、あれ?」
「今が、授業中だという事を忘れるなよ」
「じゅ、授業中…?」
快斗がくるりと周りを見渡すと、呆れたような視線や、ニヤニヤとからかうような視線を自分に向けるクラスメイト達。
「ほ、ほら…快斗。とにかく席に戻って!」
恥ずかしさから頬を赤くした名前が小声で快斗を促すと、ようやく快斗も自分の席に戻る。
ガタンと快斗が席に座ったのを確認すると、中村はため息をつきながら再び教科書を手に持って口を開く。
「えーと、では…教科書の56頁の内容に戻るぞ…」
「…………。」
中村の説明を右から左へと完全に受け流しながら、快斗はガシガシと頭を掻いて考え込む。
(何で、あんな夢を…)
快斗はたった今夢で見た、自分の目の前から消えていく名前の姿を思い出してギュッと拳を握る。
("たかが夢″かもしれねぇが、あんな思いするなんて冗談じゃねーぞ)
---キーンコーンカーンコーン
「……名前っ!」
授業が終わった途端に、快斗はガタガタと立ち上がって血相を変えて名前の元に駆け寄って来る。
「…快斗、さっきの何だったの?」
「オメー、明日の休みどっか行くのか?」
「え?」
自分の問いには答えずに、なぜか休日の予定を詰め寄るように尋ねる快斗。名前はその様子に戸惑いつつも快斗の問いに答える。
「えっと…明日は新一と子供達のキャンプに付き合ってって、博士に頼まれてるけど…?」
「……またキャンプかよ」
快斗はガックリと肩を落として大きくため息をつく。
「快斗?」
「なァ、何か嫌な予感がするんだよ。明日のキャンプ大丈夫か?」
「なーに?さっきのって、本当に変な夢でも見たの?」
「………まぁな」
半ばふて腐れたような快斗を見て、名前は苦笑しながら快斗の手をギュッ握る。
「大丈夫よ。ただのキャンプだし、いざとなったら新一もいるから」
「俺は、名探偵がいるから余計に心配なんだよ」
「………。」
自分の幼なじみはいつも事件に巻き込まれるため、快斗からストレートにそう言われてしまうと否定する事も出来ず名前は曖昧に微笑む。
「大丈夫よ、快斗。何かあったら必ず快斗にも連絡するし…ね?」
快斗を納得させるためにそう声をかけているが、名前はただの夢の話だと内心はあまり気にしていない。そんな名前とは裏腹に、快斗はいつまでも納得のいかないような表情を浮かべていた。