「銀翼の魔術師」編
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card.280
着陸した機体の周りでは、救助されて無事に助かった喜びでワイワイと盛り上がっている人々。
その人混み抜けながら、名前はキョロキョロと周りを見渡す。
「……名前!!」
雑踏の中ふいに名前を呼ばれて、名前はくるりと振り返る。そこには軽く片手を上げるコナンの姿があり、その横には灰原も立っている。
「……しん、コナン君!!」
名前は人混みだった事を思い出して、呼び方を言い直しながら自分の名前を呼んだ人物に駆け寄る。
「オメーも無事だったんだな」
駆け寄って来た名前に、コナンは安心したように声をかける。
「他のみんなは!?」
「みんな無事よ」
名前の問いに、コナンの隣で灰原がサラリと答える。
「そう……良かった」
その答えを聞いた名前は、改めて小さく安堵の息をつく。
「……あいつは?」
そんな名前に向かって、コナンはポツリと尋ねる。
「え、ああ。少し後始末があるからって、さっきどこかに行ったけど…」
名前は、僅かに戸惑いながらもコナンの問いに答える。
「「………。」」
(そういえば、私…新一に向かってとんでもない事を…)
何かを考えているように黙ったまたのコナンを見つめながら、名前は飛行機から飛び降りる前に新一に向かって言った自分の台詞を思い出して、気まずさから顔をしかめる。
「……帰りも別々か?」
「え…、うん。そう言ってたけど…」
ようやく口を開いたコナンからの問いに、名前は質問の意図が分からずに首を傾げながら答える。
「……じゃあ、お前に変わりに言っとく」
「え…?」
「あいつに伝えろ…"疑って悪かった″って」
「!!」
--オメーが言ってた、あの言葉はそーいう意味なのかよっ!?--
--お前と名前だけ助かれば良いと、本気で思ってんのかよ!?--
「……新一、」
「……"あいつ″がいなかったら、着陸は無理だった」
コナンは名前から視線を逸らして、気まずそうにポツリと呟く。
「…それだけだ」
コナンはそう言ってその話題を締めくくると、少し離れた場所にいる阿笠達の元へ向かうのか名前の返事を待たずにくるりと踵を返す。
「……新一、」
名前は、自分から離れていくコナンの背中に向かって声をかける。
「何だ?」
「いつか…いつか、新一に紹介したいわ」
「バーロー!…仲良くなれるわけねぇだろーが」
コナンは名前の言葉に一瞬目を見開くが、困ったように小さく苦笑してそう答える。
「……いいえ、きっと…仲良くなれると思う」
「…そうかよ」
名前の言葉に、コナンは何かを考えるように名前をジッと見つめるが、しばらくすると小さく微笑みを浮かべてそれ以上は何も言わずにそのまま立ち去っていく。
「もう、私には笑ってくれないんじゃないかと思ってた」
「……え?」
コナンの背中を見送りながら、名前がポツリと呟いた言葉に灰原が小さく反応する。
「私…新一に向かって、キッドとずっと一緒にいる…なんて言い切っちゃったから…」
灰原は、名前の言葉に僅かに目を見開く。
「さすがの新一も、もう呆れてるんじゃないかと思って…」
「……馬鹿ね。工藤君は"幼なじみに異常に甘い″んだから、そんな事あるわけないでしょ?」
灰原は、小さく笑いながら名前にそう返す。
「…そう…だったわね」
名前は、以前にも灰原に言われた言葉に苦笑しながら頷く。
「聞いたわよ?あなた、彼と一緒に飛び降りたんですって?」
「ふふ…まぁね」
「本当……興味深いわね、あなたの彼。あなたも含めてね」
「そうかな?」
名前は、灰原の意味深な言葉に小さく苦笑しながら首を傾げる。
「…でも、本当にくるかしら?」
「……え?」
灰原は、視線を暗い海に移しながらポツリと呟く。
「工藤君と…あなたの彼が、"笑顔″で対面する日が…」
「……………。」
灰原の言葉に名前は小さく目を見開いた後に、フッと息をつくと何も答えずに灰原と同じく暗い海に視線を向けた。
*銀翼の魔術師編fin.