「銀翼の魔術師」編
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card.278
---ゴォォォ!!
---50(フィフティ)…
『機首を上げて、スラストレバーをいっぱいまで引け!!』
---30(サーティ)…
---20(トゥエンティ)…
----ゴォォォ!!ガシャン!!
「きゃぁあ!!」
機体の一部が埠頭に停められていたパトカーに接触した影響で、機体は大きく揺れる。
『機首を下げろっ!!』
---グイッ!!
『よし……逆噴射!!』
「!?」
(………園子!)
蘭は新一の指示通りに、グッとレバーを握ると、その上から園子が手を重ねる。園子は蘭にニコリと微笑んで頷くと、2人一緒にレバーをグッと引く。
----ゴォォォ!!!
「「うわぁぁあ!!」」
パトカーの影に隠れていた目暮達は、自分達の頭上スレスレの位置を通って行く飛行機に、声を上げながら頭を抱えて身体を縮める。
(止まれ!止まれ!!止まれっ!)
(止まれっ!止まれ!)
着陸操作を終えたらコナンと蘭は、ジッと機体の激しい揺れに堪えながら、祈るように同じ事を思い続ける。
「お願いっ…止まって!!」
倉庫の上でキッドと飛行機を見守っていた名前は、ギュッと目を閉じて消え入るような声を出す。
「…………。」
(頼むぞ、名探偵っ…!)
キッドも真剣な表情で、音を立てて埠頭を進んでいく機体を見つめる。
そして、自分の隣で震える手をギュッと握り祈るように目を閉じている名前を安心させるように、名前の肩を抱く力を強める。
----ゴォォォォォ!!
無事に機体を地上に降ろした飛行機だったが、スピードがなかなか落ちず埠頭の端に設置されたクレーンに向かって進み続ける。
「し、新一!クレーンがっ!!」
『!?』
「ぶつかるっ!!」
『方向蛇だ!!右足で方向蛇ペダルを押せっ!!』
----ガンッ!!
-----ギャギャギャッ!!
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「………ん?」
「と、止まった…?」
「止まりました!!」
「わーっ、良かった!!」
強い揺れと衝撃が収まった客室では、乗客達が徐々に無事を実感して声を上げ喜び始める。
灰原は大きく1度息をつくと、小さな微笑みを浮かべる。
(工藤君…どうやらあなたの辞書にもなかったようね…"不可能″という文字)
---バンッ!!
「やったね!蘭姉ちゃん!」
コナンが笑顔でコックピットに駆け込むが、コックピットの中は不自然に静まり返っていてコナンは目を見開く。
「……蘭姉ちゃん?」
機長席に座る蘭も、隣に座る園子もガクリ頭を垂れている。
「蘭っ!?しっかりしろっ!蘭…園子っ……?」
コナンは息をのんで2人に駆け寄るが、2人の顔を見ると肩の力を抜いて小さく息をつく。
「2人とも気を失ってるだけか…」
(だいぶ無理させちまったからな…よくやったな、蘭…園子)
コナンは二人の様子を、小さな微笑みを浮かべて見つめていた。