「銀翼の魔術師」編
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---ファンファンファン!
「くそっ!!キッドの野郎…っ!逃がさねーぞっ!」
その頃、中森は無数のパトカーを引き連れてキッドを追いかけている。
---スーッ
「お…おい、中森君!キッドが埠頭に向かったぞ!!」
中森が乗るパトカーの後部座席にちゃっかり乗っている目暮が、キッドを目で追いながら助手席に座る中森に声をかける。
「わかっとる!!…キッドは埠頭に向かった!A班、B班は反対側に回り込み、埠頭のフチに沿ってパトカーを並べろっ!!C班は、俺の後について来いっ!!」
中森は、無線に向かって自分の後方に続くパトカーに指示を出す。
「キッドを挟み撃ちだっ!!」
card.276
「………新一?」
『今、札幌のコントロールセンターからかけてんだ…何だか大変な事になってるみてーだな』
キッドがパトカーを誘導していた頃、コナンは2階席に設置された機内の連絡用の電話で、蘭を勇気づけるために新一の声で無線に連絡していた。
『でも…もう大丈夫だ』
「………。」
『落ち着いて俺の言う通りにすれば必ず着陸出来る…絶対守ってやっから心配すんな!!』
「………。」
『聞いてっか?蘭…』
「蘭…?返事しなよ…」
「…………。」
しかし、新一からの連絡だと言うのに蘭の表情は冴えない。見兼ねた園子が小声で蘭に声をかける。
『蘭……?』
「……何よ、カッコいい事言っちゃって…分かってるの?私の両腕には、乗客みんなの命がかかってるのよ?いい加減な事ばっかり言わないでよっ!」
『……!!』
切羽詰まった様子の蘭の言葉を聞いて、コナンは小さく息をのむ。
「大事な時に…いつもいなくて電話ばかりじゃない!!たまに帰って来たって、すぐにまたいなくなっちゃうし…。私の事何だと思ってんのよ?」
「………。」
園子はいつもは弱音を見せない蘭の言葉に、息をのんで蘭を見守る。
『…………。』
「…私は……」
蘭が小さく息をついてから、ゆっくりと口を開く。
『…?』
「私は…好きだよ、新一………」
『!!』
『ら…蘭、俺……』
「………明かり…明かりが見える!!」
コナンが戸惑いながらも言葉を返そうとした時に、ふいに電話口から蘭の明るい声が響く。
『…え?』
「…赤い光が帯みたいに動いてる!!」
『何っ!?』
コナンは、1度受話器を置いてキッドが外した扉から地上を見下ろす。
「!!」
そこには、夥しい数の赤い光が埠頭に向かって動いているのが見える。
--新一…彼は、キッドは新一が思ってるような人じゃないわ--
--"覚悟″なんてとっくに出来てる!キッドを愛してるから!!--
--…じゃあな…名探偵!!"後は任せたぜ!″--
「はは、そういう事かよ!!」
コナンは乾いた笑いをこぼしながら、片手で目元を隠して大きくため息をつく。
--オメーが言ってた、あの言葉はそーいう意味なのかよっ!?--
「…馬鹿だったのは俺の方か」
コナンはポツリと小さく呟いたあとに、再び受話器を取る。
『蘭!着陸態勢に入るぞっ!!』
「え…?」
『恐らくその赤い光は、キッドが引き連れて来たパトカーだっ!!』
「えっ…!?」
「じゃあ…キッドが飛び降りたわけって…パトカーの光で滑走路を作るため!?」
「さ、さすが私のキッド様!!そうだと思ったのよ!」
園子は、キッドが飛び降りたと聞いた時とは一転して頬を赤らめて嬉しそうに声をあげる。
「ふふ……」
蘭は、そんな園子の姿に小さく笑みを浮かべる。
『(……大丈夫そうだな)蘭、もう1度左に旋回だっ!!』
「わかった!」
すっかり緊張の解けた蘭は、新一の指示に力強く頷いて操縦桿を握り直した。