「銀翼の魔術師」編
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--俺は、"今″も"これから″も…どんな状況でも、"何よりも″あいつを優先させる。例え、他の物を見捨てる事になっても、な--
「オメーが言ってた、あの言葉!!あれはこーいう意味なのかよっ!?」
コナンはキッドを睨みつけながら、今までにないくらい声を荒げる。
「お前と名前だけが助かれば良いと、本気で思ってんのかよ!?」
card.273
--名前…俺は必ず、機体を導く光を作る--
「ーっ!!」
(違う…違うよ、新一…)
名前のいない所で快斗とコナンがどんな会話をしたのかは知らないが、コナンが今のキッドの状況を見て勘違いしているのは分かる。名前はそれをコナンに伝えたいが"光を作る″方法が分からず、うまく言葉が出て来ない。
「名前!」
そんな中、コナンは名前に視線を移して呼び掛ける。
「この間、言ったよな?考えてみろって!!その答えを出せ、名前!オメーは、こいつと一緒にいるべきじゃねーんだっ!!」
「!!」
名前はコナンの言葉に戸惑ったように目を見開くが、ふいに先ほどのキッドの言葉が脳裏に響く。
--俺は、オメーが何よりも大切で、誰よりも愛してるんだっ!!--
「………ふっ、」
(私は…今まで何でこんなに迷っていたのかしら)
名前は小さく息をついた後に、真っ直ぐにコナンに視線を向ける。
「……名前?」
コナンは、こんな状況でありながらも、何故か穏やかな笑みを浮かべる名前を訝し気に見つめる。
「新一、彼は…キッドは新一が思ってるような人じゃないわ」
「……何っ!?」
名前の言葉に、コナンは目を見開く。
「私は…決めたよ、新一」
名前とコナンの会話を、キッドは黙ったまま見つめる。
「ううん…違う。答えは最初から決まってた」
「名前…駄目だ!!」
名前の表情とその台詞に、コナンは嫌な予感がして名前を制止するが、名前は構わずに言葉を続ける。
「……私は、誰に何と言われてもずっとキッドと一緒にいるわ!!"覚悟″なんてとっくに出来てる!」
「!!」
「だって、私はキッドを"愛してる″から!!」
その言葉と共に、名前は視線をキッドに戻す。
「名前……行こう!!」
名前と視線が合ったキッドは、ニヤリといつもの笑みを浮かべて名前に手を差し延べる。名前は、そんなキッドを見つめながら微笑みを浮かべて大きく頷く。
「……名前!やめろっ!!」
----ダッ!!
コナンは必死に名前を呼び止めるが、名前は勢いよく駆け出してキッドの胸に飛び込む。キッドは、そんな名前の身体を満足気に受け止める。
「じゃあな……名探偵!!後は任せたぜ!」
キッドは名前の身体をきつく抱きしめると、呆然と立ち尽くすコナンにそう言い残し、パッと機体から身体を空中に踊らせる。
----ヒュォォォ!!
「…くそっ!!」
キッドと名前がいなくなった機体で、吹きつける風に打たれながら、コナンは悔しい気に壁を拳で殴る。
「……何がお前にそこまでさせるんだよ…名前」
コナンはポツリとそう呟くと、外れた扉の奥に広がる暗闇を呆然と見つめていた。