「銀翼の魔術師」編
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card.272
「だったら……俺と一緒に来てくれ、名前」
キッドの思わぬ言葉に、名前は目を大きく見開く。
「何…言ってるの?」
「ははっ……一緒に飛んだ事、何度もあるじゃねーか?」
どこかすがるように呟かれるキッドの言葉に、名前は動揺しつつも、気持ちを落ち着かせようと小さく息をつく。
(一緒に行く…?このまま快斗と?)
----ゴォォォォォ!!
名前の気持ちを急かすように、名前の身体には強い風が吹き付ける。
「だ…駄目だよ…私、みんなを置いてなんて」
名前は、風圧に負けないように座席を掴む自分の手が僅かに震えるのを感じる。
「……名前」
「それに…快斗、左腕怪我したんでしょ?普段飛んでる高さとは桁違いの高度2000フィートなんだよ?」
「…名前」
キッドが自分の名前を呼ぶ度に、ぐわりと揺れる自分の心を誤魔化すように言葉を続ける名前。
「……私を連れて行く事で、快斗を危険な目になんて合わせられない。私はここに残るから……」
「名前っ!!!」
自分の気持ちから逃げるように、キッドから視線をそらしていた名前は、大声で名前を呼ばれて思わず顔を上げる。視線を上げると、真っ直ぐに自分を見つめるキッドと視線が絡み合い、そらす事が出来ない。
「名前…俺は、必ず機体を導く光を作る」
「…信じてるわ、快斗。だから私はここに残る…」
「それじゃ駄目なんだ!!」
名前の言葉を遮り、今まで聞いた事がないくらい声を張り上げるキッド。
「………快斗?」
(どうして…どうして、そんなに苦しそうな顔するの…)
名前は、初めて見るキッドの表情に言葉を詰まらせる。
「頼むよ…それじゃあ、駄目なんだよ…名前!!」
--お前さ…何であいつが良いわけ?--
「俺は……俺は、オメーがいねぇと駄目なんだよ、名前!!何よりも名前が必要なんだよ!」
--……あいつが相手じゃ、オメーは幸せになれねぇんじゃねぇかと思ってよ--
「この機体や乗客よりも…!俺にとっては、他の何よりも"名前"が無事じゃなきゃ意味がねぇんだよっ!!」
--もう1回考えてみろよ…あいつと一緒にいるって事を--
「か…いと?」
目の前で必死に声を張り上げて、今まで聞いたことのない本音を晒け出すキッド…初めて見る快斗の姿に、名前は言葉を失って、ただキッドを見つめたまま立ち尽くす。しかし、何故か快斗の言葉と共に、新一に言われた言葉が次々と脳裏に蘇ってくる。
--もう1回考えてみろよ…あいつと一緒にいる覚悟があるのかを--
「名前!!…俺は、オメーが何よりも大切で、誰よりも愛してるんだっ!!俺が、お前を置いてなんていけるわけないだろっ!?」
「!!」
名前は、キッドの必死な言葉に小さく息をのんで、無意識に足を一歩前に踏み出そうとする。
「…待て!!名前!」
しかしそれを制止するかのように、突然響いた第三者の声に、名前は振り返って目を見開く。
「し…新一!?どうして、こんな所に?操縦は…!?」
名前の背後から名前を呼び止めたコナンは、名前の質問には答えずに、ギロリとキッドを睨み付けた。