「銀翼の魔術師」編
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card.270
『ご搭乗のお客様にお知らせします…当機は多少のアクシデントがありましだが、現在代替空港の新千歳空港に向かって順調に航行中です。お急ぎのところ、申し訳ありませんが何卒ご了承ください…』
---コックピット
「そろそろ室蘭だ…2000フィートまで高度を下げよう」
「はい!」
新庄の指示で、蘭は真剣な表情でグッと高度を下げていく。
「見えた、明かりよ!!」
園子の嬉しそうな声に、コナンも小さく頷く。
「室蘭港だ…」
「崎守埠頭はもっと左ね…白鳥大橋の向こう…………!!」
名前は窓の外を見つめながら、小さく息をのんで言葉を切る。横目でコナンを確認すると、コナンも同様に息をのんで目を見開いている。
(……しまった!)
「ね、ねぇ…暗くて何にも見えないよ」
「ちょっと、あんなところに本当に着陸するの!?大丈夫なの?コナン君!?」
そう。夜の埠頭には、ほとんど街灯もなく機内からは埠頭の様子が暗くて何も見えないのだ。
「………。」
(どうする!?もう後戻りは出来ないぞ……)
灯りの事を失念していたコナンは、汗を浮かべながら窓の外を見つめる。
そんな中、何の言葉を発しないキッドに、名前が目を向けると、キッドは双眼鏡を片手に小さく微笑みを浮かべている。
(……快斗?)
---パチン!
名前が不思議そうにそんなキッドを見つめていると、キッドは突然操縦席の奥にあるスイッチの1つに指を伸ばす。
「な…何をっ!?」
コナンは、その行動に目を見開いてキッドに目を向ける。
「なんかヤバそうなんで…俺は先に降りるぜ!!」
キッドはそう言いながらチラリと名前を見ると、視線が合った一瞬で目で小さく合図する。
「……!?」
(…え、来いって事?)
「じゃ…GoodLack!!」
名前が快斗の意図が読めずに戸惑っているうちに、新庄の顔のまま爽やかな笑顔でそう言い残してキッドはコックピットから出ていってしまう。
「ちょっと…オイ!待て!」
「え、新庄さん!?」
慌てた園子は新庄の後を追って出ていこうとするが、名前がそんな園子の手を掴んで引き止める。
「ま…待って、園子!」
「名前?」
「新庄さんの所には私が行くから、園子は蘭のそばに!!」
「え?あ、うん…分かった」
名前の言葉に僅かに戸惑いながらも、素直に頷く園子。名前はそんな園子に微笑むと、ダッとコックピットから出ていく。
「ま…待て!名前…!くっ!!」
---ゴォォォ!
「キャァァ…!」
コナンもそんな2人を追い掛けようとベルトに手を伸ばしたが、そのタイミングで突然機体が大きく揺れる。
「蘭姉ちゃん、機首を下げてっ!!」
----ゴォォォ!
「………ふぅ、」
一瞬大きく揺れた機体だったが、再びバランスを取り戻す。安定した事を確認したコナンは、小さく息をついて隣に座る蘭の横顔を見つめる。
(よし!!蘭も思ったより落ち着いてるな)
蘭の横顔を確認したコナンは、後ろに立つ園子に向かって口を開く。
「園子姉ちゃん!!僕もちょっと新庄さんのとこに行ってくるから!」
そう言いながら、コナンはヒョイッと座席から降りる。
「え、はあ?コナン君!?」
「当分はこのまま水平飛行で大丈夫だから…!!」
慌てふためく園子を尻目に、「すぐ戻るねっ!」と言い残すと、コナンはコックピットから駆け出していく。
「どどどどーするのよ!?みんないなくなっちゃったわよ!?」
「そ、園子…!!水平飛行で良いなら大丈夫だから…とりあえず落ち着いて!」
少しずつ機体の操縦に慣れて来たのか、蘭は冷静に慌てる園子に声をかけるのだった。