「銀翼の魔術師」編
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card.267
コナンと名前は、地図の隅から隅まで目を向けながら着陸出来そうな場所を探す。
「千歳は?新千歳に行けば…!?」
「ギリギリだな…途中で燃料切れになる可能性高い…」
CAの1人がそう提案するが、新庄を首を横に振る。
「他の空港は!?この近くにはないのっ!?」
「ないわ……」
「え、」
園子は声がした方に視線を向けると、この状況下でも腕を組んで冷静な表情をした灰原の姿。
「農場の離着陸場や自衛隊の基地ならあるかもしれないけど、そこだと滑走路の長さが足りないわ」
「そんな…」
灰原から言い放たれたその言葉に、園子はグッと言葉を失う。
「…でしたら、いっその事道路に着陸させたらどうでしょう?北海道には広くて真っすぐの道が多いから…」
「残念だけど無理ね…」
光彦の提案に、チラリと地図から視線をあげて名前が口を開く。
「この飛行機の両輪の幅は…11m。12m以上の幅の道路には、必ず中央分離帯と看板の設置が義務付けられているのよ…」
「それに、周りに民家や電柱だってあるだろう?」
名前の言葉に続いて、コナンも地図を見つめたまま呟く。
「………そうですか。」
肩を落とす光彦の横で元太が大きな声をあげる。
「そうだ!牧場は!?北海道って牧場がたくさんあるんだろ?」
「駄目ね…地盤が柔らかすぎるわ。それより近くの海に着水させた方が……」
「いや、この天候だ。かえって波に機体をとられてひっくり返っちまう」
子供達を含め、灰原とコナンが口々に意見を言い合うが、未だに良い案が浮かばない。
「ちょっ…ちょっと、蘭!何か浮かばない?」
「む…無理よ、園子…」
自分達よりも遥かに年下であるはずのコナン達が、冷静に打開策を考える姿に圧倒され、ただ呆然と見守る事しか出来ない蘭と園子。
「………。」
(どこか…着陸出来る場所が…)
名前は、眉を寄せながら必死に地図を見つめる。
「長くて真っすぐな…周りに何もない場所か…」
「………。」
「……。」
皆が口をつぐんで必死に考えこむなか、ふいに歩美が口を開く。
「……ねぇ!!コナン君、名前お姉さん!私知ってるよ、長くて真っすぐで何もない場所…!」
「え?」
「……歩美ちゃん、そこ何ていう場所だかわかる?」
歩美の言葉に、コナンと名前は地図から顔をあげて歩美に尋ねる。
「この前…"イルカ・クジラウォッチング″っていうのがやってた時に、テレビで見たの!」
「…イルカ・クジラウォッチング…って言えば、室蘭かしら?」
名前の小さな呟きに、コナンはハッと息をのむ。
「埠頭だっ!!」
コナンの言葉に、名前も納得したように小さく息をのみ、再び地図に目を向けて埠頭を探していく。
「…新日鉄埠頭、中卯埠頭……本輪西埠頭…室蘭埠頭…あった!…コナン君、これよ!」
名前は地図上に見つけた埠頭を指して、コナンに声をかける。
「崎守埠頭か…」
「長さは…おそらく1400m、幅は30mって所ね」
名前は地図を見ながら呟く。
「で…でも、確か…この飛行機の幅は……」
光彦が戸惑いがちに呟く言葉に、コナンが頷く。
「ああ…60m弱ある。しかし…片方の翼を海に出せば何とか」
「無理ね…」
「……哀?」
名前は、険しい表情の灰原に視線を向ける。
「距離が足りないわ…この飛行機の着陸滑走距離は2000mを超えているはず…それに地盤の強度にも問題が…」
「幸か不幸か…燃料は残り少ねーし、乗客も少ない。重量が少なければ、それだけ着陸距離が短くて済む…」
「そうね…それに風向きによっては、もう少し短くなるかも」
コナンの意見に頷いて、名前がそう呟く。
「た、確か羽田で見た天気予報だと…一晩中強い西風が吹くって言ってました!!」
「本当か!?光彦!!」
光彦の言葉を聞いて、コナンはパッと笑顔になる。
「この埠頭は…だいたい東西に向かって伸びてるわね」
「ああ…西風に向かって東から着陸すれば、ギリギリ着陸出来るかも……」
「無理だ…」
「え…?」
ようやく纏まりかけた意見を、ポツリと否定する新庄の声に、名前とコナンは地図から顔を上げてキッドの横顔を見つめた。