「銀翼の魔術師」編
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----ゴォォォ!
滑走路が使えなくなり目的地を失った飛行機は、上空を旋回し続ける。
card.266
「………。」
---ポンッ
下を向いて打開策を考えていた名前は、ふいに肩を叩かて視線をゆるりと上げる。
「かい……新庄さん」
「………。」
そこには片手で操縦桿を握りながら、小さく微笑んで頷く新庄の姿。名前は肩に触れられた快斗の手の温もりを感じて、肩の力を抜くと小さく微笑んで頷き返す。
「こりゃ、一刻の猶予もならねーぞ!!」
キッドは名前の肩をギュッと力を込めて握り、もう一度安心させるようにポンポンと叩いた後に再び操縦桿を握り直してコナンに声をかける。
「ああ…誰か、そこに地図があるはずだ。取ってくれ!」
コナンは険しい顔で頷くと、座席の後ろに立つ歩美達に向かって声をかける。
「…函館タワー、こちら865便!!緊急事態が発生した!」
『こ……865、便…状況…!』
「おい!?雑音がひどくて聞こえない!!」
キッドが必死に無線で管制塔との通信を試みるが、雑音が強く交信が出来ない。
----ガチャリ
「いったい、何が起きたんじゃ?」
そこへ、なかなか戻って来ない子供達を見に来たのか阿笠がコックピットに入ってくる。
「エンジンが1つ落ちちゃって、燃料もなくなりそうなの!!」
「なんじゃと!?」
慌てた様子の園子の言葉に、阿笠も目を見開いて真剣な眼差しに変わる。
「くそっ!!自動操縦装置、滑走路…燃料、おまけに無線まで駄目になっちまった!!」
「自動操縦装置が駄目って!?」
「じゃ…じゃあ、今って手動で操縦してるのっ!?」
新庄の言葉に蘭と園子は顔を青くするが、名前は黙ったまま僅かに眉を寄せて新庄の横顔を見つめる。
「えーと、地図…地図…」
「その赤いヤツじゃない?」
「あっ、あった!!」
なかなか地図を,見つけられない歩美に、灰原が助け舟を出すと歩美は嬉しそうに地図を取り出す。
「コナン君!!地図あったよ!」
歩美が本棚から取り出した地図を、コナンに駆け寄って手渡す。
「サンキュー!」
コナンは歩美達を安心させるように笑顔で地図を受け取ると、パラパラと目的のページを開く。名前もコナンの横に立ち地図を覗き込む。
「えーと、…残りの燃料は、約3000ポンド……1分で300ポンドとしても、飛んでいられる時間は…良くても10分ってところね」
「ああ…その間に、どこか着陸出来るところを探さねーと…」
「ちょっと…名前!!コナン君も!ど、どこかって…どーいう事よ!?」
「…10分で滑走路が元に戻るとは思えねーだろ?」
「そ、そんな!?」
名前とコナンの会話を聞いて、園子が動揺しながら尋ねるがそんな園子を尻目に新庄が平然と答えるのだった。