「銀翼の魔術師」編
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『何だって!?着陸中止だ!出力を上げて操縦桿を引くんだ!』
突然の出来事に動揺しながらも、キッドとコナンは無線の指示に従っていく。
card.265
『よーし、車輪を上げろ!』
コントロールセンターにいる機長は、双眼鏡で機体を確認しながら指示を続ける。
----カチャ
「上げたよ!」
『よし、そのまま上昇』
---ゴォォォ!
「ーっ!?」
「うわっ!」
しかし突然機体が大きく揺れて、キッドとコナンが小さく声をあげる。
『いかん!!風に流されている!右に旋回だ、ターンライト!!』
---ゴォォォ!
『ターミナルビルに突っ込むぞ!!機首をあげろっ!!』
「ぐっ……!」
---ゴォォォ!ガシャーン!!
『ま…まずい、』
「くそっ!!」
「うぉぉぉ!」
悪天候に阻まれた機体は、ターミナルビルすれすれに上昇していくが、機体の一部ぶつかってしまいエンジンが1つ脱落する。
----ゴォォォ…
「くっ…」
「空港は?…管制塔は大丈夫なのか!?」
機体の接触の影響で、炎があがる空港の滑走路を見ながらコナンが不安気に呟く。
『865便!聞こえるか!?』
「!!」
「聞こえるよ!…被害状況は?」
『タワー内の人間は皆無事だが…滑走路はすぐには使えなくなった。そちらの状況は?』
空港で人的被害が出なかった事に小さく安堵の息をつきながら、キッドは通信を続ける。
「第2エンジンが脱落したようだ…」
『大丈夫…残りの3基でも十分着陸出来る。フラップを5にして水平飛行に移れ……そのまま機首を180度の方向に向け、4500まで上昇してくれ』
「了解…!」
-----ゴォォォ!
機体が安定すると、管制塔からの一旦通信が切れる。
「ふぅ……あとは旋回して、このまま待機か?」
キッドは一息つくと、素に戻ってコナンに声をかける。
「ああ…自動操縦装置さえ復活し、滑走路が鎮火されて元の状態に戻れば再びILSで着陸は可能だからな」
----バタンッ!!
「コナン大変だよ!」
「エンジンが一つ取れちゃった!」
キッドとコナンがそんな会話をしていると、突然コックピットの扉が勢いよく開いて、歩美達が慌てた様子で入ってくる。その後ろからは園子や名前達も、コックピットに入ってくる。
「分かってる…心配すんな!!残った3つのエンジンだけで十分安全に着陸できっから。燃料も、まだ十分に……!」
「っ、…どうした?コナン君」
燃料の表示に目を向けた後、突然驚いたように息をのむコナン。キッドの変装である新庄は他のメンバーがいるため、咄嗟に新庄の声に戻って尋ねる。
「…ね、燃料がほとんどなくなってる」
「何っ!?」
「それってどういう事よ!?」
コナンの言葉に、園子が焦ったような声をあげる。
「もしかしたら…エンジンが落ちてしまったから?」
「いや…普通4つのエンジンには、それぞれ別のタンクから燃料が配給されるはずだから…」
CAの言葉に、コナンは小さく首を振る。そんな中、名前が新庄を横目に見ながら機長席の横に並ぶと画面を覗き込んで小さく息をのむ。
「しん…コナン君、クロスフィードバルブが開かれてるわ!」
「!?」
コナンが名前の言葉に驚いたように画面を確認してる間に、名前はコックピット内のスイッチに目を向ける。
「…あった!」
---ピッ
そしてクロスフィードバルブの開閉スイッチを押して、バルブを閉じる。
「……何だよ?そのクロス…なんとかって?」
元太は会話についていけずに、不思議そうに首を傾げる。
「クロスフィードバルブ……そのスイッチを押すと、燃料タンクを仕切っていたバルブが開いて、ひとつながりになってしまうのよ」
名前が元太達に向かって説明している隣で、キッドが小さく舌打ちする。
「くそっ…一体どうして!?」
「……そうね。普通だったら、このバルブは閉じられているはず」
キッドである新庄の顔をチラリと見つめながら、名前も困ったように呟く。
「「「あーっ!!」」」
その時、探偵団の子供達が何かを思いついたように声をあげる。
「そういえば、倒れた機長さん達を運ぶ時に……伴さんがふらついてその辺りを触ってました!」
光彦が、クロスフィードバルブのスイッチがある辺りを指差しながら説明する。
「……ったく、あの親父!!」
「………。」
(燃料、ほとんど残ってない。何とかしないと本当にまずいわね…)
いつと余裕のあるキッドが珍しく悪態をつく姿を見ると、現状の深刻さを実感する。名前は新庄の横顔を見つめながら、ギュッと拳を握った。