「銀翼の魔術師」編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……あなたは、"彼″がいるコックピットに残るのかと思ったわ」
客室に戻って、先ほどまでコナンが座っていた灰原の隣に腰を下ろした名前。その名前に灰原がそう声をかける。
「…哀、気付いてたの?」
名前は、灰原の言葉に僅かに目を見開いた。
card.263
名前が客室の席に戻った頃、コックピットでは機長席に腰を降ろした新庄にコナンが声をかけていた。
「……お前、キッドだろ?」
「ん、何の事だ?」
「バーロー、とぼけんじゃねぇ。どこの世界に小学生のガキを操縦席に座らせる奴がいるんだ?」
「ははっ…やっぱりバレたか!」
新庄の姿のまま、素の口調と声に戻ったキッドは小さく笑う。
「まぁ…今頃、"本物の新庄″は……」
「偽キッドになって、函館の樹里さんの別荘にいる……だろ?」
「ほぉー、」
自分の言おうとした事を、見事言い当てたコナンに感心したような声を上げるキッド。
「お前が乗って来た時に、樹里さん怒ってたからな…大方パーティーの余興でも頼まれてたんだろ…」
「さすがだな…!」
ほとんど完璧に言い当てるコナンに、キッドはニヤリと笑った後に楽しそうに言葉を続ける。
「ただ…もう1人"キッドがこのまま引き下がるわけない″って、函館に向かった奴がいるから……今頃、偽キッドと追いかけっこしてるかもしれねぇな…」
----函館
------ファンファンファン!
キッドの言う通り、雨が降り続く函館では怪盗キッドのコスプレをした涙目の"本物の新庄″が運転する車を、中森警部を先頭に何十台というパトカーが追いかけていた。
---コックピット
「……で?いつ"運命の宝石″をいただくつもりなんだ?」
「あぁ、やめたよ」
「え?」
コナンの問いに、平然とそう答えるキッドにコナンは驚いて目を見開く。
「オメーも知ってるだろうが、本物のスターサファイアは口に含むと冷たいんだ…あれは偽物だ」
「……!」
(…あれは、それを確かめる為だったのか)
コナンは新庄が搭乗して来た時に、樹里の側でひざまずいて手の甲に口づけた姿を思い出す。
「おそらく…"ジョセフィーヌ″の客寄せのために、偽物を本物と偽って公表したってところかな…どうする?俺を捕まえるか?探偵君…」
「ああ!この巨大な鉄の鳥を巣に戻してからな…」
コナンの返事を聞いたキッドは小さく笑う。
「相変わらず厳しいねぇ…人命を救うために、こんなに尽力してるってーのに」
キッドは、わざとらしくポンッと操縦桿を叩いて見せる。
「そういえば、オメー何で俺を指名したんだ?」
「?」
コナンの質問の意図が分からず、キッドは首を傾げる。
「さっき見てたなら分かるかもしれねぇが…名前も自動操縦装置のスイッチの位置が分かる程度には飛行機の知識があるし…正直俺とそんなに変わらねぇはずだ。小学生の俺を指名するくらいなら、あいつをここに座らせた方が自然だったんじゃねーか?」
コナンの言葉に、キッドは小さくため息をつく。
「相変わらず分かってねぇな…オメー」
「あん?」
「"ここ″に座る人間の手には…何百人という乗客の命がかかってるんだぜ?俺だって墜落させる気なんか更々ねぇが…あいつをここに座らせたら、何かあった時にあいつ……悩んで苦しんじまうじゃねーか」
「………。」
「それに…まぁ、こっちが本当の理由だが…」
キッドは、何かを言おうとして少し迷うように言葉を濁す。
「……何だよ?」
「………もし、墜落した場合きっと"ここ″が一番損傷が激しいだろ?」
「……状況によるが、確かにそうかもしれねぇな」
コナンは軽く周りを見渡しながら頷く。機体の進行方向の先端にあり、正面はガラスが張られたコックピット。どこかに突っ込んだりした場合は、間違いなく1番ダメージを受けるだろう。
「そんな場所に、あいつをいさせるわけにはいかねぇだろ。……俺は、"今″も"これから″も、どんな状況でも"何よりも″あいつを優先させる……例え、他の物を見捨てる事になっても…な」
「!!」
コナンは、僅かに目を見開いて隣に座るキッドの横顔を見つめる。
「………ま、大袈裟に言えばそんな所だよ。探偵君?」
今までの真剣な口調から一転して、キッドは冗談のように小さく笑って締めくくる。
「………。」
コナンは、そんなキッドをしばらく見つめた後に口を開く。
「……オメーが、あいつの事を大切だと思ってるのは分かったが…」
「……。」
「やっぱり俺は…お前が相手じゃ、名前は幸せになれねぇと思う」
「…!」
キッドは、改まって冷静に告げられたコナンの言葉を聞いて視線をコナンに向ける。
「…オメーが、どんなに良い奴だろうと…犯罪者である事には変わりねーし、そのせいで名前が危険な目に合うのは許せねぇ」
コナンはそこで言葉を切って、小さく息をついた後に言葉を続ける。
「……この話は名前にもした」
「え?」
「オメーとの事を、もう1度考えろとも伝えた。」
「………。」
--あっ…ごめん、ちょっとぼんやりしちゃった--
---ううん…快斗と、こうしたい気分なの--
(あの日か……)
キッドは名前の様子に違和感を覚えた日の事を思い出して、僅かに眉をよせる。
「……俺は、オメーにも…名前にも言える事は全部言った。…後は、あいつの答えに任せる」
コナンは、前を見つめたままポツリと呟く。
「「…………。」」
(名前の答えか…)
キッドは会話が途絶えたコックピットで、前方を見つめながら名前の顔を思い浮かべた。
客室に戻って、先ほどまでコナンが座っていた灰原の隣に腰を下ろした名前。その名前に灰原がそう声をかける。
「…哀、気付いてたの?」
名前は、灰原の言葉に僅かに目を見開いた。
card.263
名前が客室の席に戻った頃、コックピットでは機長席に腰を降ろした新庄にコナンが声をかけていた。
「……お前、キッドだろ?」
「ん、何の事だ?」
「バーロー、とぼけんじゃねぇ。どこの世界に小学生のガキを操縦席に座らせる奴がいるんだ?」
「ははっ…やっぱりバレたか!」
新庄の姿のまま、素の口調と声に戻ったキッドは小さく笑う。
「まぁ…今頃、"本物の新庄″は……」
「偽キッドになって、函館の樹里さんの別荘にいる……だろ?」
「ほぉー、」
自分の言おうとした事を、見事言い当てたコナンに感心したような声を上げるキッド。
「お前が乗って来た時に、樹里さん怒ってたからな…大方パーティーの余興でも頼まれてたんだろ…」
「さすがだな…!」
ほとんど完璧に言い当てるコナンに、キッドはニヤリと笑った後に楽しそうに言葉を続ける。
「ただ…もう1人"キッドがこのまま引き下がるわけない″って、函館に向かった奴がいるから……今頃、偽キッドと追いかけっこしてるかもしれねぇな…」
----函館
------ファンファンファン!
キッドの言う通り、雨が降り続く函館では怪盗キッドのコスプレをした涙目の"本物の新庄″が運転する車を、中森警部を先頭に何十台というパトカーが追いかけていた。
---コックピット
「……で?いつ"運命の宝石″をいただくつもりなんだ?」
「あぁ、やめたよ」
「え?」
コナンの問いに、平然とそう答えるキッドにコナンは驚いて目を見開く。
「オメーも知ってるだろうが、本物のスターサファイアは口に含むと冷たいんだ…あれは偽物だ」
「……!」
(…あれは、それを確かめる為だったのか)
コナンは新庄が搭乗して来た時に、樹里の側でひざまずいて手の甲に口づけた姿を思い出す。
「おそらく…"ジョセフィーヌ″の客寄せのために、偽物を本物と偽って公表したってところかな…どうする?俺を捕まえるか?探偵君…」
「ああ!この巨大な鉄の鳥を巣に戻してからな…」
コナンの返事を聞いたキッドは小さく笑う。
「相変わらず厳しいねぇ…人命を救うために、こんなに尽力してるってーのに」
キッドは、わざとらしくポンッと操縦桿を叩いて見せる。
「そういえば、オメー何で俺を指名したんだ?」
「?」
コナンの質問の意図が分からず、キッドは首を傾げる。
「さっき見てたなら分かるかもしれねぇが…名前も自動操縦装置のスイッチの位置が分かる程度には飛行機の知識があるし…正直俺とそんなに変わらねぇはずだ。小学生の俺を指名するくらいなら、あいつをここに座らせた方が自然だったんじゃねーか?」
コナンの言葉に、キッドは小さくため息をつく。
「相変わらず分かってねぇな…オメー」
「あん?」
「"ここ″に座る人間の手には…何百人という乗客の命がかかってるんだぜ?俺だって墜落させる気なんか更々ねぇが…あいつをここに座らせたら、何かあった時にあいつ……悩んで苦しんじまうじゃねーか」
「………。」
「それに…まぁ、こっちが本当の理由だが…」
キッドは、何かを言おうとして少し迷うように言葉を濁す。
「……何だよ?」
「………もし、墜落した場合きっと"ここ″が一番損傷が激しいだろ?」
「……状況によるが、確かにそうかもしれねぇな」
コナンは軽く周りを見渡しながら頷く。機体の進行方向の先端にあり、正面はガラスが張られたコックピット。どこかに突っ込んだりした場合は、間違いなく1番ダメージを受けるだろう。
「そんな場所に、あいつをいさせるわけにはいかねぇだろ。……俺は、"今″も"これから″も、どんな状況でも"何よりも″あいつを優先させる……例え、他の物を見捨てる事になっても…な」
「!!」
コナンは、僅かに目を見開いて隣に座るキッドの横顔を見つめる。
「………ま、大袈裟に言えばそんな所だよ。探偵君?」
今までの真剣な口調から一転して、キッドは冗談のように小さく笑って締めくくる。
「………。」
コナンは、そんなキッドをしばらく見つめた後に口を開く。
「……オメーが、あいつの事を大切だと思ってるのは分かったが…」
「……。」
「やっぱり俺は…お前が相手じゃ、名前は幸せになれねぇと思う」
「…!」
キッドは、改まって冷静に告げられたコナンの言葉を聞いて視線をコナンに向ける。
「…オメーが、どんなに良い奴だろうと…犯罪者である事には変わりねーし、そのせいで名前が危険な目に合うのは許せねぇ」
コナンはそこで言葉を切って、小さく息をついた後に言葉を続ける。
「……この話は名前にもした」
「え?」
「オメーとの事を、もう1度考えろとも伝えた。」
「………。」
--あっ…ごめん、ちょっとぼんやりしちゃった--
---ううん…快斗と、こうしたい気分なの--
(あの日か……)
キッドは名前の様子に違和感を覚えた日の事を思い出して、僅かに眉をよせる。
「……俺は、オメーにも…名前にも言える事は全部言った。…後は、あいつの答えに任せる」
コナンは、前を見つめたままポツリと呟く。
「「…………。」」
(名前の答えか…)
キッドは会話が途絶えたコックピットで、前方を見つめながら名前の顔を思い浮かべた。