「銀翼の魔術師」編

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「…どうですか?先生」


「幸い、摂取した毒物は微量でしたので命に別状はありません。しかし意識が混濁して、とても操縦出来る状態ではありませんね…」

「そんな……っ!?」

医師の言葉を聞いた蘭は、不安気に声をあげた。


card.262


「とにかく…着陸させるしか道はないんだ。コントロールセンターに連絡をしよう」

重苦しい雰囲気で静まり返った機内で、新庄がニコリと笑って立ち上がる。

「そ…そうだな」

小五郎も険しい表情のまま新庄の言葉に頷く。

「………。」

名前は、コックピットに向かう新庄をジッと見つめながらその後に続く。



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『何ですって!?機長と副操縦士が意識不明!?』


突然の連絡に、コントロールセンターの職員達は険しい表情でそれぞれの持ち場につく。

『失礼…貴方のお名前は?』

「乗客の新庄です」

『新庄さん…現在の飛行状況は分かりますか?』

「現在…高度12000フィート、速度280ノットです。幸いILSは着陸までインプットされていますし、フラップや着陸脚操作は多少経験があるので、分かります。後はタイミングさえ指示してもらえれば…」

新庄は冷静に無線で状況を伝えていく。

『分かりました!他の航空機の離着陸を全てストップし、大至急タワーに別の機長を呼ぶようにします』


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「……と言うわけで、僕が機長席に座ります」

新庄は連絡を終えた後に、コックピット内でその様子を見ていた小五郎達に声をかける。

「……副操縦席には、そう……君に座ってもらおうか!」

「えっ!?」

新庄が指を指して指名した人物は、何と小学生であるコナン。まわりの人々は驚いて目を見開く。

「………。」

名前は表情を変えずに新庄を見つめる。

「さっきの操縦桿さばきは、なかなかのモンだったからね…」

「…………わぁい!」

コナンは、しばらく新庄を見つめた後に無邪気に喜んでみせる。

「コナン君ずるーい!」

「俺も座りたい!!」

「…これは遊びじゃないんだっ!」

「!」

コナンに羨まし気に声をあげる歩美達を、新庄は厳しく制止する。

「それに…もう操縦の必要はない。ただ、ILSでも着陸する時にいくつかの操作が必要で、それを彼に手伝ってもらうだけだよ」

「だ…だからって、何もそんなガキを…」

「とにかく僕に任せてください。さぁ、あと15分ほどで着陸です!皆さん客室に戻ってください」

戸惑い反論する小五郎の言葉をサラリと流して、有無を言わさぬ雰囲気で新庄は小五郎や子供達を客室に戻した。






-----客室

ゾロゾロと客室に戻った一同はそれぞれの席に戻っていく。


「新庄君…多少の経験があるって言ってたけど…?」

「うーん…セスナの免許でも持ってるのかな?」

舞台共演者達は、聞き覚えのない情報に首を傾げる。


---スースー

「あれ…?お父さん…お母さん眠っちゃったみたい…」

蘭は、小さな寝息をたてる英里の姿に目を丸くする。

「なにぃ!?こんな時に?」

「お父さん…お母さんの隣に座ってあげて!!」

「ったく…しょうがねぇな」

小五郎は小さく息をつきながら英里の隣に座り、そっと英里のシートベルトをしめた。



---コックピット

「さぁ、名前ちゃんも客室に戻るんだ」

小五郎達が客室に戻ったなか、コックピットに1人残った名前。新庄は、名前の肩に手を置いて優しく声をかける。

「………。」

コナンは、副操縦士の席から2人の姿をジッと見つめる。

「……新庄さん」

「何だい?」

名前は、真っ直ぐに新庄を見つめて口を開く。

「……大丈夫、よね?」

「………。」

「………。」

(…気づいたか)

名前の言葉に、新庄は僅かに目を見開いた後にしばらく見つめ合う。新庄は自分を心配そうに見つめる名前の表情を見て、小さく息をのむ。

「…ああ、大丈夫だ」

しかしすぐにニッコリと微笑んだ新庄は、ポンポンと名前の頭を撫でる。

「……さぁ、客室へ」

「ええ」

名前も新庄に小さく微笑みを返すと、チラリと自分達に目を向けているコナンに視線をうつす。

「……任せたわよ、コナン君」

名前はいつもの笑顔でそれだけ言い残し、客室へ戻って行った。
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