「銀翼の魔術師」編
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「犯人はいったいどうやって樹里さんに毒を飲ませたんだ……」
コナンがブツブツと独り言を呟きながら樹里の遺体を確認している姿を見て灰原はため息をつく。
(まったく…工藤君と一緒だと、いつも事件が起こるわね)
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(それにしても、本当にこの状況でどうやって毒物なんて)
灰原は、そう考えながら何気なくくるりと機内の様子を見渡す。
「…!」
すると、ふと視界に入った人物の姿に灰原はピタリと目を止めて、僅かに眉をよせる。
「………ふぅ、」
灰原はしばらく考えた後に小さく息をつくと、顎に手をあてて考えこむコナンの元に向かう。
「……工藤君」
コナン以外には聞こえないように小声で声をかけると、コナンはチラリと横に立つ灰原に目を向ける。
「どうした?灰原。何か分かったか?」
「彼女…」
「…ん?」
「殺され"た樹里″さん…本物よね?」
灰原のその質問に、コナンは訝し気に眉を寄せた後に、"ああ…"と質問の意図が思いあたったのか、灰原の耳元で口を開く。
「……俺もすぐに顔を確認したが、樹里さんの遺体は本物だ。キッドの変装じゃねぇよ。でも、何でオメーがそんな事を?」
「……あれ見て」
「?」
コナンは灰原の視線を辿って後ろを振り返ると、小さく目を見開く。
「彼女が殺されてから…ずっとあんな様子よ」
「……そうか」
コナンは、真っ青な顔で立ち尽くしている名前の姿をしばらく見つめた後に小さくため息をつく。
「悪ぃな…あいつの事、任せた」
「……はいはい」
灰原は面倒そうにそう言いながらも、足早に名前の元に向かっていく。
「ったく…相変わらず素直じゃねーな」
コナンは、そんな灰原の背中を苦笑しながら見送った。
灰原が名前の元に向かうと、ちょうど新庄が名前を座席に座るように促しているところだった。
「名前」
(……今、邪魔したかしら)
名前に新庄が何かを話し掛けていたように見えて、声をかけた灰原は僅かにたじろぐが、それは表情には出さない。
「………。」
灰原が声をかけても名前は灰原には目を向けずに、隣にいた新庄が灰原に目を向ける。
「……。」
新庄はしばらく黙ったままの灰原を見つめた後に、フッと微笑むと灰原に向かって小さく頷いてその場を離れていく。
「…………。」
(……あの人…)
灰原は新庄のその動作に僅かに違和感を覚え、去っていく新庄の背中をしばらく見つめた後に、改めて名前に声をかける。
「……名前」
「……何?」
「しっかりしなさい……工藤君が確認したみたいだけど、亡くなった樹里さんは"本物″よ」
灰原の言葉に、まだピンと来ないのかぼんやりしている名前に向かって灰原は更に言葉を続ける。
「亡くなった彼女には悪いけど……少なくとも、あなたの彼じゃないから。安心しなさい」
「…そう」
灰原の言葉を聞いた小五郎名前は、ポツリとそう呟くと大きく息をついて両手で顔を覆う。
「………。」
そんな名前の様子を、灰原は何も言わずにジッと見守る。
そして、しばらくして顔を上げた名前はいつもの笑顔を灰原に向ける。
「……哀、ありがとう」
(本当……馬鹿ね)
灰原はいつもと同じ名前の笑顔を見て、小さく安堵の笑みを浮かべながら心の中でため息をついた。