「銀翼の魔術師」編
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「……。」
「何を考えてるの?」
険しい表情で何かを考え込むコナンに、隣に座る灰原が声をかける。
「え?」
「まぁ、あなたの事だから、どうせキッドの事でしょうけど…」
card.252
「ああ…あの日、劇場に現れたあいつは、本気で宝石を奪う気があったのかと思ってな」
--君とかくれんぼするには、日が暮れ過ぎたよ…探偵くん…--
コナンは、不敵な笑みを浮かべるキッドの姿を思い浮かべながら呟く。
「あら…あなた、あの予告状がまだ解けてなかったの?珍しいじゃない」
「ああ…そうなんだよ」
「なぁなぁ…俺の席は4のKだから、怪盗キッドのkだな!」
「僕の席は4のJですね!」
予告状やキッドの事を考えこむコナンの耳に、楽しそうに座席番号について会話する元太達の声が届いて来る。
「……!」
(そうか…!!)
「灰原、分かったぞ!キッドの予告状に書かれていた英単語、あれはフォネクティックコードだったんだ!」
「え?」
「フォネクティックコードってーのは、無線通話での聞き間違いを防ぐための通話コードで…これは、航空機の無線通信にも使われている」
「つまり…"26の文字が飛び交う中″というのは、そういうアルファベットが飛び交う中での犯行を予告したってわけ?」
コナンの意図をすぐに理解した灰原の言葉に、コナンは満足そうに笑いながら頷く。
「それも…東京から函館に向かうこの飛行機の中でな…」
「どうして?…飛行機なら帰りにだって…!!なるほど、あのトランプの絵ね?」
「ああ…スペードの2のカードが半分に割れていた。あれは、2で割り切れない奇数を示していたんだ。東京から出発する便は、この865便のように奇数…到着する便は偶数と決まってるかなら……」
「…そうだとすると、キッドはもうこの機内に?」
「ああ、今もあの宝石を狙ってる可能性が高い」
コナンはそう言うと、チラリと周りに座る面々に注意を配り始める。
「……。」
相変わらず熱心なコナンの姿を見て、灰原は小さく微笑む。そして、キッドの正体には大して興味のない灰原は再び雑誌に目を向ける。
--今日は"予告日″じゃないと思うから--
「……?」
(そういえば、名前はどうしてあの時に予告日じゃないって分かったのかしら。工藤君でも時間がかかるくらい結構…複雑な暗号な暗号だったのに…)
雑誌を見ていた灰原は、ふと劇場での名前の台詞を思い出して小さく首を傾げた。
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「………ふぅ」
「どうしたんすか?」
小五郎は、隣の席で小さくため息をついた樹里に声をかける。
「なんだか少し気分が悪くて…」
「きっと疲れが出たのよ。ほら、樹里手を出して、ビタミン剤よ!」
「ありがとう…」
樹里は、通路を挟んで隣の席に座る田島に貰ったビタミン剤をゴクリと飲み込むと、座席にもたれて目を閉じる。
「………。」
そんな様子をコナンはジッと見つめていた。
『Sky J865 Wind 160 at 10.Cleared for take off…』
スカイJ865便、離陸を許可します 風向き160度 風速10ノット…
「Take off!!」
ゴォォォ!!
名前達を乗せた飛行機は、大きな音を立てながら滑走路を飛び立って行った。