「銀翼の魔術師」編
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card.249
---羽田空港
『今夜の函館は雨、ところにより激しい雷雨になるでしょう…』
「函館は雷雨か…せっかくなのに、生憎の天気ね」
名前は、空港のロビーで流れている天気予報を見て小さく呟く。
「……ま、飛行機は予定通り飛ぶみたいだから大丈夫でし。」
いつの間にか足元に立つ灰原が、名前の言葉にそう返事をする。
「哀。ごめんね、この間は」
名前は、あの日劇場を後にした後の言い訳を灰原に丸々任せてしまった事を謝る。
「いいのよ…そもそも悪いのは工藤君でしょ?工藤君にはフサエブランドの財布を頼んだから」
「そうなの…」
(新一…痛い出費ね)
「いやぁ…すいませんな。私らまで、舞台の打ち上げにお招きいただいて」
名前と灰原から少し離れた場所で、小五郎がマネージャーの矢口や成沢に向かって声をかける。
「いえ…皆さんのおかげで宝石が無事だったんですから、当然の事ですわ」
「そうそう!!そんな事は気にせず函館を楽しみましょう」
そんな会話をしているなか、伴が辺りを見渡して口を開く。
「…それにしても、樹里のヤツは遅いな…」
「本当ね…」
その言葉に、田島も同調してキョロキョロと周りを見渡す。
「ああ…すいません。樹里さんは、今なつきさんに駐車場の車の中でメイクしてもらってるんです」
「メイクですか…大女優ともなると、大変なんすなぁ」
小五郎の感心したような言葉に、伴と田島は小さく苦笑する。
「あら、大変なのはなつきちゃんの方よ!」
「ああ…樹里にすっかり重宝がられて、メイクの仕事だけじゃなくて、付き人のような事までさせられてるからなぁ…」
「………。」
(なつきさんって確か楽屋で会ったあの人よね…)
名前は伴達の話を聞いて、楽屋で1度会ったなつきの姿を思い浮かべる。
「はーい、お待たせ皆さん!!」
そんな会話をしていると、噂の張本人である樹里と、その後ろでいくつかの荷物を抱えたなつきが合流する。
「全員揃ってるみたいね…」
遅れてきた樹里は、マイペースにくるりとまわりを見渡して頷く。
「いや…まだ新庄君が」
「ああ…新庄さんなら、体調が悪いのでキャンセルすると今朝電話があったんです…」
矢口の言葉を聞いて、田島は目を丸くする。
「あら?そうなの…残念ね、樹里」
「え…何が?」
「ううん…別に…」
「………。」
樹里と田島の会話を聞いた沢は、何故かスッと視線を逸らす。
「……?」
そんな3人の不自然な態度に、コナンは首を傾げる。
「あの…他の役者さん達は来ないんですか?」
蘭は、樹里達の会話を聞いても首を傾げながら尋ねる。
「あら、当たり前じゃない!!端役の連中を呼んだってなんのメリットもないでしょ?」
「……とんだ性格ね、彼女」
「ふふ…そうね」
樹里が当たり前のように笑顔で告げるのを聞いていた灰原と名前は、呆れたように顔を見合わせた。