「銀翼の魔術師」編
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「どうやらケリがつきそうだなぁ?探偵君?」
そう言って笑う怪盗キッドを、コナンはジロリと睨む。
「そうはいくかよ!!俺は、オメーに怒ってるんだからな!」
その言葉を聞いたキッドは、小さく目を見開きながら口を開く。
「……何だ?"工藤新一″に化けた事が、そんなに気に入らなかったか?」
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「当たり前だろーが!!オメー、俺をおちょくってんのか!?」
怒鳴っているコナンとは対照的に、キッド楽しそうに口元に笑みを浮かべる。
「ふ、良いじゃねーか!俺は結構楽しかったぜ?」
「…っざけんな!!それに、それに!オメーは…!!」
「?」
ふいに、コナンが何かを考えるように眉を寄せながらキッドを睨みつけるため、キッドは不思議そうに小さく首を傾げる。
---私は…彼の敵になるような事は、彼の不利益になるような事は絶対にしないわ--
--例え、それが"結果的″にあなたの敵に回る事になっても…--
「……俺は、オメーが本当はどんな奴なのか知らねー」
「おい…何だよ?名探偵。俺に興味が…」
「だがな、」
ニヤリと笑いながら、いつもの様に冗談を返そうとするキッドの言葉を、コナンが遮ってより一層強く睨みつける。
--馬鹿ね…正義感丸出しのあなたに紹介出来るわけないでしょ--
「お前が例え…普段はどんなに良い奴だろうと……俺は、あいつが堂々と周りに紹介出来ねぇような男なんて…ろくな奴じゃねぇと思う」
「………。」
コナンの言葉に、キッドからは今まで浮かべていた笑みが消え去り、無言のままコナンを見つめる。
「本当に大事な女だったら…本当に、あいつが大事なんだったら…お前は側にいるべきじゃねーんじゃねーのか?」
「………。」
コナンの絞り出すようなその言葉に、キッドは僅かに目を見開いたあと、困ったように息をついて小さく笑う。
「ふっ、分かってねぇな…名探偵」
「…何だよ?」
---例え、いつか自分が自分の犯してきた罪に飲み込まれる時が来ても…--
--俺は、もうお前を諦める事は出来ない--
----ガチャリ
「!?」
キッドは、トランプ銃を構え直してどこか吹っ切れたような表情でコナンを見つめる。そして、こんな状況に似合わない穏やかな笑みを浮かべながら、改めて口を開く。
「名探偵、"本当に大事なもん″ってーのはな…何と天秤にかけても、どんな理屈を並べても…どうしたって"手放せない″もんなんだぜ?」
「!!」
「さぁ、もういいだろう?そろそろケリをつけようか、名探偵。」
それだけ言うと、コナンの返事を待たずにキッドは会話を終了させる。
「ああ、そうだな…」
コナンはどこか不服そうに顔をしかめるが、そんなコナンを無視してキッドが再びトランプ銃に手をかける。
----パシュッ!
--------カンッ!!
放たれたトランプカードをコナンが避けると、カードは高い音を立ててコナンの背後ある柵にあたる。
---ザッ…!
「ーうわぁっ!?」
しかし勢いよく足を踏み出してカードを避けたコナンは、踏ん張り切れずに転倒してしまう。子供の身体のコナンは転倒した勢いで柵の間から屋上の向こう側に落下してしまい、キッドの視界から姿を消していく。
「何っ!?」
それを見たキッドは、すぐさまハンググライダーの翼を広げて、コナンを追って屋上の柵を乗り越える。
そして、みるみると夜の闇に落下していくコナンを追って、キッドも地上に向かい真っ直ぐ落下していった。