「銀翼の魔術師」編
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----チンッ
屋上に向かうエレベーターの中で、"新一″少し離れた場所にたっている名前にチラリと目を向ける。
「……。」
(やっぱりまずかったかなぁ?工藤新一に化けるの…さっきから名前…"俺″に対してニコリとも笑わねぇな…)
"新一″は、エレベーターの一番奥で腕を組んで寄り掛かっている名前を見て小さくため息をついた。
「わー、着いたよ!」
そんな憂鬱な思いを尻目に、エレベーターは屋上に到着した。
card.237
「よーし、鍵はちゃんとかかってるな!」
新一は、蘭と一緒に屋上の非常口の鍵を確認してまわっている。そんな様子を、名前はコナンと灰原、阿笠と一緒に、屋上に併設されたカフェでお茶を飲みながらぼんやりと見ている。
「オメー、」
ふいに、コナンが名前に視線を向けて口を開く。
「……ん?」
名前は、手持ちぶさたなのか紅茶のカップをくるりと回しながらコナンに視線を向ける。
「あの男…どうにかしろよ」
「どうにかって言われても…」
「……この"俺″に化けて乗り込んできて、蘭にまでちょっかいだしやがって!!俺をおちょくってんのか!?」
「……そんな事、私に怒鳴られても困るわよ」
名前は、紅茶を飲みながら冷たく言葉を返す。そんな名前に、コナンはジト目を向ける。
「オメーの男だろうが!!他の女にちょっかい出さねぇように、ちゃんと言っとけって言ってんだ!!」
「…新一。それ、やきもち?見苦しいわよ」
「…んだと!?オメーも、さっきから分かりやすく不機嫌じゃねーか!」
「……あら、私は少なくとも蘭達の前では普通にしているつもりよ?あなたみたいに、処構わず感情を剥き出しにしてるつもりはないわ!」
「…何だと!?」
「あなた達、うるさいわ」
「「………。」」
コナンの言葉を遮って、灰原がピシャリとそう言いながら、コナンと名前を軽く睨む。
「……ふぅ、」
灰原にコナンとの言い合いを制止されて少し落ち着いたのか、名前は一口紅茶を飲んでため息をつく。そして、少し考えるように視線をさ迷わせたあとに、隣のコナンに目を向ける。
「……新一」
「あん、何だよ?」
「私は……例え、"彼″が誰に化けようとも…どんな風にあなたに近付いても…"彼″を止めるつもりわないわ」
「………。」
「これから先……例えそれがどんな状況でも…何度"どうにかしろ″とあなたに言われても、それが私の答えだって言ってるのよ」
「オメー、」
「…………。」
今まで呆れたように2人の言い合いを聞いていた灰原も、コナン相手にそう言い切った名前を僅かに目を見開いて見つめる。
「…オメーは俺の敵に回るって事かよ?」
「………違うわ」
「だったら…!」
「……私は、新一の味方も彼の味方もしないわ。勘違いしないでね…"味方″って言うのは、あくまで100%どちらかを選ぶ事はしないっていう意味よ?」
「………。」
「私にとっては…どちらの事も大事だもの」
「……。」
「だけど……これだけは言えるわ」
名前は、前髪をサラリと掻き上げて蘭と楽しそうに話す"新一″をジッと見つめる。
「私は…彼の敵になるような事は…彼の不利益になるような事は絶対にしないわ」
「……!!」
「例えそれが、"結果的″にあなたの敵に回る事になっても……」
「オメー…」
「……なーんてね!」
「……はあ?」
そこまで言うと、先ほどまでの真剣な雰囲気をガラリと変えた名前。コナンは何と言えば良いのか分からないまま、呆然と名前を見つめる。
「…さて、私は歩美ちゃん達の所に行ってくるわ」
そんなコナンを尻目に、名前それ以上話すつもりはないようで、スッと立ち上がりどんどんとカフェから立ち去っていく。
「ちょっ…待て!」
コナンは慌てて名前の後を追って、カフェから出ていく。
「なぁ…哀君、どういう意味じゃ?今の話……」
阿笠は、カフェから出て行った名前とコナンを見ながら灰原に尋ねる。
「さぁ…何かしらね」
1人だけ何の話をしているか分からなかった阿笠は、何故か楽しそうに小さく笑みを浮かべながら珈琲を口にする灰原を不思議そうに首を傾げて見つめた。