「奇術愛好家連盟事件」編
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荒達が園子の言葉を聞いてベランダに目を向けると、白い衣を靡かせた怪盗キッドが立っていた。
名前はベランダと部屋の境目あたりに立っていたため、名前の位置からは荒達の姿が見えたが荒達からは美しい衣を靡かせる怪盗キッドの姿しか見えなかった。
「な…何で彼がここに!?」
card.225
--ガチャリ
扉の音に名前達が振り返ると、そこには鋭い視線を向けるコナンが立っていた。
「…見事な推理だったぜ。探偵君?」
コナンの姿を見ても焦る事もなく、口角を上げて笑いながらそう言うキッド。その横に当たり前のように立っている名前の姿に、コナンはますます眉を寄せる。
「だけど…やけに行動が早いじゃねーか?ついさっきまで、あの財閥のお姫様の後ろで喋ってたはずだろ?」
キッドはチラリと裏庭に目を向けながら、不思議そうに尋ねる。
「途中から、ボタン型スピーカーを使ったんでしょ?」
そんなキッドの質問に、コナンが答えるよりも先に名前が口を開く。
「ボタン型…スピーカー?」
聞き慣れない名称にキッドは首を傾げる。
「ええ。それを貼っておくと、離れた所でも変声機の声がとばせるのよ」
「へぇ…便利なもんだ。相変わらずいろいろ持ってるんだな」
「おい…お前ら、」
コナンがその場にいないかのように、普通に会話をしている名前とキッド。そんな二人にコナンが低い声で声をかけると、二人はようやくコナンに視線を戻す。
「…何で俺の前で普通に会話してんだ?」
「…?」
「オメーらに何かしら関わりがあるのは、分かったにしても!いくら何でも、急に開き直りすぎだろーが!!」
「…どうせ"現行犯″じゃなきゃ捕まえねぇんだろ?だったら…無駄にコソコソしたってなぁ?」
「………。」
キッドは、コナンの言葉に楽しそうに笑いながら名前にそう言って同意を求めてくるが、コナンの手前もあり名前は困ったように苦笑する。
そんな二人に、コナン小さくため息をつきながら口を開く。
「ったく…相変わらずお前はチョロチョロ妙な動きをしやがって。"レッドへリング″…お前のハンドルネーム通り惑わされるところだったぜ」
「……。」
(レッドヘリング…確か、昔の奇術用語ね。"人を欺くもの、偽の手がかり"…)
名前は、コナンとキッドの会話には口を出さずに黙ったまま二人の会話を見守る。
「別に惑わすつもりはなかったぜ?ここに来たのは、死んだはずの"イカサマ童子″が通信し続けているのを不審に思ったからだ。"イカサマ童子″は春井風伝のデビュー当時のステージネームだったからな」
--今回は、巨大宝石絡みじゃねーけどな。ちょっと気になる事があって…--
(快斗がここに来る前に言ってたのって…そういう理由だったのね)
二人の会話を聞いて、納得したように名前は小さく頷く。
「彼女を一目見て孫娘だと分かり、あの奇術のサクラの事も見抜けたが…まさか殺人とは。気付いた時には、もう手遅れ…情けねーぜ…」
キッドの言葉に、名前は悔しそうに雪に拳を沈めていた土井塔の姿を思い出す。
「感情的な性質は、時には推理を妨げ真実から遠ざける…止めたかったよ。今回の悲しい殺人は…」
「俺は探偵じゃねーし、お前は風邪でぶっ倒れてた…仕方ないさ」
-----バババ…
「……!」
キッドのその台詞と同時に、キッドの背後に見える林の奥から警察のヘリが向かって来るのが見える。
「かい、……キッド、」
名前は、ヘリを見て少し心配そうにキッドに小さく呼び掛ける。
「……ああ」
キッドは、そんな名前に向けて優しく微笑むと、スッとシルクハットに手を添える。
「…また会おうぜ、名探偵。世紀末を告げる鐘の音が鳴りや止まぬ内に……」
---ポンッ!
「……あっ!」
----ヒュォォォ…!
小さな煙幕にコナンが声を上げている隙に、キッドはベランダからハンググライダーで飛び去っていく。
(…けっ、相変わらず気障な野郎)
ここには呆れたように飛び立っていく白い塊を見届けた後に、ため息をついてから口を開く。
「…おい、名前」
「何?」
飛び去っていくキッドの姿をぼんやりと見つめていた名前は、名前を呼ばれてコナンに視線を向ける。
「…オメー、何であんなに気障でふざけた野郎が良いんだよ」
「……秘密よ」
(…新一もキッドに負けないくらい気障だと思うけど)
名前は小さな微笑みを浮かべた後、再び既に遥か彼方へと飛び去っていたキッドに視線を戻したのだった。