「奇術愛好家連盟事件」編
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「そ、そうか!…これならまわりの雪に何も跡を残さずに死体を運べる!」
「紐を死体のズボンのベルトの穴にでも通せば、ロープウェイになるってわけね」
裏庭の真ん中に無事運ばれた布団を見ながら、荒と黒田が納得したように呟く。
「そうよ…犯人はボーガンで何もない宙空に、ロープウェイの支点を瞬時に作りだし…不可能を可能にしたのよ」
card.221
「でも…この仕掛けの後始末は?紐を回収しようとすれば、紐が引きずられて雪に変な跡が残ってしまうぞ…」
須鎌は眉を寄せて園子に尋ねる。
「…ご心配なく。さぁ!土井塔さん、ヨットのマストに当たるもう1本の紐を矢に結びつけて左右のどちらかの林の上空を目掛けて撃ち出してちょうだい!!ベランダに結びつけた紐を切るのと同時に…そうすれば、残った疑問は全てクリアになるはずよ!」
----パシュッ
土井塔が、園子の指示通りにボーガンを放つと、ボーガンの矢とともに布団や木に繋がった紐は遥か彼方に飛んでいく。
「…どう?こうすれば紐を雪面に触れずに裏庭から消し去る事が出来るでしょ」
「た…確かに!!」
「でも…矢はまだ木に刺さったままじゃないか!?」
須鎌の言葉に、木の影でコナンはニヤリと笑いながら推理の続きを紡いでいく。
「…だから犯人は吊橋を燃やして私達を外界から隔離したのよ。警察が来る前に、矢を回収するために」
「…………。」
「そうでしょ……犯人の田中貴久恵さん?」
「………!?」
「嘘…」
「た、田中さんが?」
園子の言葉に、参加者達は驚愕しながら田中に視線を向ける。
「…ちょっと園子ちゃん、冗談言わないでよ!!私は犯人にボーガンの矢で命を狙われてるのよ?なのに…何で私が犯人になっちゃうの?」
田中は、困ったような表情で園子に尋ねる。
「そう…そうやってあなたは誰かに殺されかけたように見せかけて、容疑者から外れようとしたのよ…」
「だから、どーやって?」
「仕掛けは簡単よ…窓の上の壁にホッチキスの針を打ち込み、それに紐を結わえつけその紐の適当な所に錘をつけ、余った紐を上の階の手すりの柱に通して窓の下から部屋の中に入れる。…あとは服を取るふりをして紐を切るだけで…自動的に窓ガラスが割れるわ」
「……。」
「そして、ガラスが割れたと同時に服の下に隠しておいたボーガンを背中ごしに撃ち…蘭達が気をとられてる隙に…紐を再び引っ張り、錘を上げカーテンを開けて、ガラスが割れたのを蘭達に確認させれば…あたかも、外から誰かが矢を撃ち込んだ様に見えるって寸法よ」
「……。」
「でも…そんなにうまくいくかねぇ…」
荒が首を傾げる。
「いくよ!!だって僕さっき同じふうにして矢を撃ったんだもん」
荒の言葉を聞いて、コナンがひょっこり木の影から顔を出して、笑顔でロッジの方を指差す。
「ほら…僕がさっき使った仕掛けはまださっきの部屋に残ってるでしょ?」
「本当だわ…。
黒田はベランダにぶら下がったままの錘を見て目を丸くする。
「ちなみに…風呂場の仕掛けも今の応用よ?そうでしょ、田中さん。…その証拠にホッチキスの針や針の穴を風呂場の外で見つけたわよ」
再び木の影に戻ったコナンは、園子の声でそう尋ねた。