「奇術愛好家連盟事件」編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ここが風呂焚き場だよ」
結局、風呂焚き場に来る事になった一同。風呂焚き場には薪が積まれていて、風呂を沸かすための釜戸があり薪や釜戸が濡れないように簡単な屋根がついていた。
card.216
「…ひさしの上にはあまり雪が乗ってないのね」
「風呂を焚く時に暖かくなるから、ずり落ちちゃうんじゃないかな?」
名前の小さな呟きに、相変わらずピタリと名前の側にいる土井塔が答える。
「あのひさしの上の窓は……2階の廊下の突き当たりの窓かしら」
「位置的に多分…そうだね」
名前は、そんな土井塔の行動にも慣れたのか、風呂焚き場のひさしの上にある窓を見上げながら土井塔に尋ねる。
「じゃあ…ひさしに登れば2階に行けちゃうね。田中さん?」
「…コナン君っ!?」
名前と同じ窓を見ていたコナンの言葉に、慌てて蘭がコナンを制止する。
「そうね…でも登れたのは私だけじゃないわ。私、風呂の水のたまり具合を見るために何度か風呂場を覗きに行ったから…」
「ちょっと…それ、どういう意味?」
「…私がいない隙にここに来れば誰でも登れるって事よ!」
田中は特に慌てる様子もなく、サラリと周りを見渡しながらそう言い切る。
「……。」
(ボーガンの矢が撃ち込まれたのは、この風呂場の窓とその上の田中さんの部屋か。犯人が矢を撃ち込んだとしたら、さっきみんながいたあの林からって事になるけど……なんか引っ掛かる)
コナンは言い合いを始める田中達を尻目に、割れた風呂場の窓や林に目を向けながら考えを巡らす。
「……新一」
「んー?どうした?」
田中達から少し離れてコナンと同様、風呂焚き場の周りを見ていた名前が急にしゃがみ込んでコナンの名前を呼ぶ。
「…こんな物が落ちてたわ」
しゃがみ込む名前の側まで近付いて来たコナンに、名前は自分の手の中にある物を見せる。
「……ホッチキスの針じゃねぇか。まさか…!」
ホッチキスの針を見て、しばらく考えたコナンはくるりと割れた窓に目を向ける。
「ちょ…っと、新一…手貸そうか?」
「うるせー。」
割れた窓の上が見たいのか、コナンは壁をよじ登り始める。名前が手を貸そうかと声をかけるが、コナンはプライドの為か名前の手を借りようとしない。
---ガシッ
「へ?」
「え…?」
「捜査は順調に進んでるかい、探偵君?」
すると、いつの間にか側まで来ていた土井塔がよじ登ろうとしていたコナンの身体をグイッと窓が見えるように持ち上げながら尋ねる。
「あ…うん、まぁ…ぼちぼち」
コナンは、突然の土井塔の行動に慌てたようにそう返す。
すると、土井塔はニッコリ笑いながらコナンの身体を下におろす。
「ほら…コナン君!もう行くわよ!みんな中に入っちゃったわ!」
「もー相変わらずチョロチョロして危なかっかしいわね、この子…」
蘭と園子にそう言われながら、蘭に手を引かれてしまいコナンも仕方なくロッジに戻りはじめる。
「ほら…名前ちゃんも。戻ろう」
「ええ…」
土井塔に声をかけられて、名前もコナン達の後に続いて行った。