「奇術愛好家連盟事件」編
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---ダダダッ!
(あの2人、速え…っ!)
土井塔は小さく息を切らしながら名前達の後を追っていく。このような状況では、驚くくらい機敏な動きを見せる名前とコナン。
あっという間に階段を駆け降りて、悲鳴が聞こえた方向に駆けて行った。
card.213
「園子はっ…!?」
タンッ!と、階段の最後の数段は飛び降りた名前は、廊下にいる荒と須鎌に尋ねる。
「く…黒田さんとトイレに…」
その言葉を聞きながらも、コナン達は足を止めずにトイレに入っていく。
「…どうしましたかっ?」
「ガ…ガラスよ!風呂場からガラスの割れる音がして、園子ちゃんが覗いたら…」
(風呂場だと…!?)
コナン達は眉を寄せながら風呂場に向かう。
---ガチャリ
「…!?」
風呂場の扉を開けると、すぐ入口で園子が腰を抜かすようにへたりこんでいる。園子の視線の先には、鏡に田中の部屋で見たのと同じ矢が刺さっていて、鏡に無数のヒビが入っている。
そして鏡の向かいにある窓は、田中の部屋と同様に割れていた。
「…園子、怪我は?」
名前は、窓や矢には目を向けずに真っ先に園子に声をかける。
「名前…へ…平気。ちょっと驚いただけ」
「そう…立てそう?」
名前は小さく安堵の息をつきながら、園子の身体を支えると、くるりと浴室内を見渡す。
(……あの窓から?)
「誰かが外から我々を狙っているんだ…」
名前が窓や矢を確認している後ろで、荒が声を震わせながら呟く。
「冗談じゃないわ……もう頭に来たっ!」
----ダッ!
「…あ、」
「待って、田中さん!」
「外に出ちゃいかん!」
皆の制止も聞かずに、田中が外に飛び出していく。
---ダダダッ!
「ちょっと!どこの誰だか知らないけど、コソコソ隠れていないで出てきなさいよ!!」
名前達が田中の後を追って外に出ると、田中は林の中で姿を見えぬ犯人に向かって叫んでいる。
「ちょっと見て!!林の中、足跡だらけよ!?」
黒田は林の中に残る無数の足跡に不気味そうに声をあげる。
「…やっぱり誰かが潜んでいたのか」
--ドシンッ
「…キャッ!」
「園子ちゃん…大丈夫?雪が深いから気をつけて…」
--ドシャッ!
「た…田中さん!?」
園子が雪に足を取られて尻餅をついたすぐ先で、田中も同じように尻餅をついている。
「大丈夫ですか…?」
蘭がそんな田中に駆け寄って声をかける。
「…どうして?どうして私達がこんな目に合わなきゃならないのよ!?」
田中は悔しそうに眉を寄せながら呟く。
「…?あ、…新一あれ!」
名前は、そんな中でふいに雪の中にポツンと落ちている黒い固まりを見つけて、小声でコナンに声をかける。
「……ん?あれはーっ!」
「おい!あれ、ひょっとしてボーガンじゃないか!?」
「え…?」
「本当だわっ!」
名前に声をかけられ、コナンが黒い固まりに目を向けたのと同じタイミングで、荒もボーガンが落ちているものに気が付いて、コナンの言葉を遮るように声をあげる。そして、ボーガンに近付きそれを拾い上げる。
「…これではっきりしましたね。犯人が僕達以外の人物だという事が」
須鎌が呟いた言葉に、荒も「そうだな」小さく安堵の息をつく。
「…でも良かったよ。誰かが怪我する前に犯人がボーガンを手放してくれて」
「……。」
安心したように呟く荒の言葉を、コナンは何かを考えるように顔をしかめて聞いている。
--ボコッ!
「ん?」
「…?」
そんな中、ふいに背後から聞こえた鈍い音に、名前とコナンが振り返る。
「くそ…っ!」
そこには、なぜか悔しそうに雪に拳を埋める土井塔の姿があった。
「………。」
名前は、そんな土井塔の姿をジッと見つめていた。