「奇術愛好家連盟事件」編
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名前、蘭、コナン、田中、土井塔の5人は並んで歩きながらまずは蘭の部屋に向かう。
「…開けるわね」
蘭は警戒しながらドアノブに手を伸ばす。
---スッ
「………え?」
ドアノブがガチャリと回ったタイミングと同時に、土井塔はスッと名前の身体を庇うように1歩前に出た。
card.212
---キィィ
ゆっくりと扉を開き、恐る恐る中を覗き込む一同。
(見えないんだけど…)
しかし名前はというと、自分をスッポリと背中の後ろに立たせている土井塔のせいで土井塔の大きな背中しか見えない。
「…ったく、部屋に入るくらいでビクビクしなきゃいけないなんて…」
部屋の様子は確認出来なかったが、ため息とともに聞こえた田中の台詞に、名前は小さく息をつく。
(どうやら…何ともなかったみたいね)
「やだよ…こんなブカブカビジネス」
「コラ、動かないの!」
「……ふふ」
子供サイズがないため、蘭にブカブカのセーターを無理矢理着させられているコナン。その姿に名前は思わず小さく笑ってしまう。
「蘭ちゃん!急いで!"影法師″さんが狙ってるかもしれないから…」
「あ、はい!」
蘭はその言葉に、コナンの手を引いて立ち上がると慌てて部屋を出る。
「次は田中さんの部屋ね…」
蘭とコナンが先頭の状態で廊下を歩きながら、名前は小さく眉を寄せる。
「ねぇ…土井塔さん」
「何だい?」
名前は前を歩く蘭達に聞こえないような小さな声で、自分の前を歩く土井塔に声をかける。
「さっきから…それ、わざとですか?」
「ん?何がだい?」
「……。」
先程部屋に入る時もそうだったが、土井塔は移動中も何をするにも名前をスッポリと自分の後ろに隠してしまい、名前は先程から土井塔の背中しか見えない。
(蘭が心配でついて来たのに…)
名前は、田中が自分の部屋のベッドに置かれた上着を手に取るのを入口から見ながら小さくため息をつく。
---パリンッ!!
「え…?」
しかしふいに室内から聞こえた音に、名前はハッと顔をあげる。
--ヒュォォォ
----ドッ!!
「「!?」」
すると、名前が顔を上げたほんの数秒後には入口の横の壁に鈍い音を立てて、鋭い矢が突き刺さる。
「な…何?」
「矢…矢が急に…ヤダ、割れてる…」
田中が窓に近付き勢いよくカーテンを開けると、窓ガラスが割れている。
「誰よ!?出てきなさいっ!」
田中は怒ったように声をあげながら、ガチャリと窓をあける。
「あっ、駄目……っ!」
「よせっ!」
「窓から離れてっ!」
田中の行動を名前と土井塔とコナンが、同じタイミングで大声で制止する。
---パリンッ!
----キャァァ!!
「い…今の声、園子?」
その時、突然下の階からガラスの割れる音と悲鳴が聞こえて、コナン達は慌てて振り返る。
「園子っ!」
「くそっ!!」
--ダッ!
名前とコナンは、いち早く階段に向かって駆け出す。
「あ…名前…っ!くそっ!」
土井塔は駆け出していく名前の姿に小さく舌打ちしながらも、大きな身体からは想像出来ない機敏な動きで名前達の後を追った。