「奇術愛好家連盟事件」編
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「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!警部殿!どーいう事ですか、朝まで動けないって!?今も娘達が、あのロッジで危険な目にあっているのかもしれんのですよっ!?」
山の麓の派出所の中で、小五郎は受話器に向かって怒鳴りちらしている。
『…そう怒鳴るな、毛利君。吊橋が落ちてしまった以上…夜中に別ルートでロッジを目指すのは危険だ。ヘリを飛ばしても良いが、そんな山奥にヘリを着陸出来る場所があるとも思えん…』
「しっ…しかし!」
『とにかく、すぐに我々もそっちに行く!大人しく待っとれ!!』
それだけ告げられるとブツリと切れた電話を、小五郎は悔しそうにガンッと音をたてて置く。
(くそっ……蘭!!)
小五郎はどうにも出来ない今の自分の状況に、ギリッと奥歯を噛み締めた。
card.205
「しかし…よわったね。飲み会の段取りも全てボードリーダーの西山さんに任せていたから」
「じゃあ…彼が来るまで仮のリーダーでも決めます?」
名前の心配をよそに、オフ会の参加者達はすっかり夜の宴会の話で盛り上がり始める。
「じゃあ…公平にジャンケンでも?」
「待った、待った!!ただ決めるんじゃ面白くない…ここは、奇術愛好家らしく…マジック風に決めましょう」
「「「マジック風…?」」」
浜野の言葉に、参加者達は不思議そうに首を傾げる。
「では、誰かお手伝いを……園子さん良いですか?」
「え、私?」
園子はキョトンと首を傾げるが、浜野はスッと白いハンカチを取り出す。
「まずは…麗しの園子嬢の美しい瞳を、白いハンカチで封印します。えーっと…誰か、ペンと紙をお持ちの方は私に…」
「これでどうですか?手品師さん」
「Ok!では…その紙に一枚ずつ皆さんの名前を書いてください」
「はいはい…」
紙とペンを差し出した田中は、浜野の指示通り紙にペンを滑らせていく。
「書き終えたら1つにまとめて裏返して園子嬢に渡してください」
「はい、これよ!園子ちゃん」
「あ…ペンも一緒に。はい…Okです。では、園子嬢!皆さんに見せないように好きな紙に○×△の印しをつけてください…間違っても同じ紙に印しを2つ以上つけないように…」
「……○×△?」
名前は浜野の言葉に首を傾げる。
「○は仮のリーダー、×は今夜の飲み会を盛り上げる宴会部長…△は風呂焚き係りにでもしておきましょうか…」
「…なるほど」
「はい、印しつけました!」
名前が小さく頷いたのと同時に、園子が口元に笑みを浮かべて手をあげる。
「…では、誰かあの紙をテーブルに並べてください。もちろん名前を下にしたままでね」
浜野の指示通り、テーブルに並べられた紙を土井塔はさっそくめくってみようと手を伸ばす。
「待った!!めくる前に、その紙の裏に書いてある名前を予言しましょう」
「…予言?」
浜野の言葉に、土井塔は小さく首を傾げる。
「うんうん…私の勘が正しければ仮のリーダーは黒田さん!あなただ!」
「えっ?…そんなまさか」
黒田は眉を寄せながら○と書かれた紙をめくる。
「嘘…本当に?」
そこには浜野の言葉通り、黒田の名前が書かれていた。そして次の風呂焚き係の紙に名前が書かれていた田中の名前も見事に言い当て、残るは宴会部長のみとなる。
(凄いわね…)
名前は、カードを手に盛り上がる一同を見て目を見開く。即興のマジックのはずなのに、見事に全てを言い当てている。
「さーて残るは、×印!!栄えある宴会部長は……土井塔君、君だ!」
浜野は自信満々にウィンクしながら土井塔を指さす。
「ええっ!?僕?弱っちゃったなー、もう」
土井塔は、ため息をつきながら×印の紙をめくる。
「………あれ?」
「え?」
「×の紙に書かれた名前…あなたになってますよ?浜野さん…」
「え゙っ!?」
最後の紙のみ浜野の予言通りにはいかずに、宴会部長はその場を仕切っていた浜野がやることになったのだ。