「奇術愛好家連盟事件」編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「わぁーっ!!」
「素敵な裏庭ね」
名前達が夕食までの待ち時間に部屋のベランダに出てみると、外には一面真っ白な雪に包まれた広い裏庭が広がっていた。
「本当、綺麗ね…」
名前は、小さく微笑んで目の前に広がる雪景色を見つめる。
---バシッ!
「なぁに~?名前ったら黄昏れちゃって!!」
「……園子、痛い」
「えー、そんな強く叩いてないわよー?」
名前の背中をバシッと叩いて、ニヤニヤ笑う園子。どうやら、土井塔さんとの対面の時に笑ったことを根に持っているようだ。名前は、そんな園子に小さくため息をついた。
card.202
「ねぇ…どうすんの?今日の僕の夕飯…」
探偵事務所に向かう車内で、コナンはふと思い出したように小五朗に尋ねる。
「俺が粥でも作ってやるよ!」
『……杯戸町のアパートで、西山務さん41歳が撲殺死体となって発見されました…』
「ん?」
コナンは、小五朗と話している最中に車内のラジオから聞こえて来たニュースに耳を傾ける。
『発見したのは、部屋の掃除に来た西山さんの母親で…死体のそばにあったパソコンのモニターに"まずは1人目…影法師″という謎めいた文字が残されており…警察では、事件との関連を捜査中です』
「……。」
『なお、西山さんはインターネットに凝っており…今日は自らがボードリーダーを務める"奇術愛好家連盟″の集まりに出かける矢先の悲劇だったそうです』
「ーっ!?」
ラジオから流れるアナウンサーの言葉に、コナンと小五朗はハッと息をのむ。
「お…おい、まさかこれ…蘭達が今行ってる……」
「おじさん……車、戻して!…早くっ!!」
------
----
--
-
「え…尊敬する奇術師?」
「ああ…私は黒羽盗一さんが好きだったな…」
「じゃあ、私は木ノ下義郎さんかしら」
「そうだなぁ…俺は、やっぱり九十九基康さんかな」
用意された夕食を囲みながら、オフ会の参加者達は日本の有名な奇術師について語り合っていた。
「私は今、超人気の真田一三さん!あなた達は?」
黒田は名前達に視線を向ける。
「…そりゃーもちろん、」
名前達が答えるより先に、園子が興奮したように口を開く。
「怪盗キッド様よっ!!」
「………え?」
名前は、園子が頬を染めながら言いきった人物に目を丸くする。
「でも…彼は、奇術師というよりは"泥棒″ですよ」
「……誰が何と言おうと怪盗キッド様!!」
「……園子、あなた本当にキッドの事好きなの?」
今まで散々"愛しのキッド様ー!″と騒ぐ園子を見てきた名前だったが、こんな風に出会って間もない人達の前でも自信満々に宣言する園子。
その興奮ぶりを見て改まって園子に尋ねてみる。
「当然よっ!」
「ふーん…」
「な、何よ?」
名前の呆れたような視線に、園子は眉を寄せて尋ねる。
「…そんなんじゃ、京極さんに振られちゃうわよ」
サラリとそう言って視線を下げると、再び食事を再開する名前。その珍しい態度に園子は目を丸くする。
「蘭、なんか名前冷たくない…?」
コソコソと園子は蘭に耳打ちする。
「うーん、確かに珍しいわね」
蘭も珍しい名前の態度に困ったように苦笑いする。
「…ところで、君達は?誰か興味のある奇術師とかはいないのかな?」
浜野が名前と蘭に声をかける。
「え…すいません。私はあまり詳しくないので」
「…まあ、普通の女子校生だったらそんなもんか。そっちのお嬢ちゃん…名前ちゃんだっけ?名前ちゃんはどう?」
「私ですか?」
名前は、浜野からの問いかけに食事の手を止めてしばらく考える。
「……私は、尊敬するというか…期待している人ならいますけど」
「へぇー?新人の奇術師なの?俺ら結構詳しいぜ?何て名前?」
「いえ、まだ世間には出てないんです。"将来の天才奇術師″…ですから」
「…将来?」
名前の言葉に、土井塔は不思議そうに首を傾げる。
「ええ…私の知り合いに奇術師を目指している人がいるので。…私は彼なら世界一にもなれると思っています」
「「………。」」
名前はニッコリと笑ってそう言い切る。その笑みは、それ以上の追求を許さない雰囲気を纏っており参加者達は、曖昧な笑みを浮かべて口をつぐむ。
「…………。」
そんな中土井塔だけは口元に小さな笑みを浮かべて、淡々と食事を続けている名前を見つめていた。