「奇術愛好家連盟事件」編
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「…凄い吊橋ね」
オフ会が行われるロッジに向かう道には、深い谷に架けられた吊橋があった。
「この先がロッジのはずよ!」
楽しそうに笑う園子を先頭に、一同は長い吊橋を渡って行った。
card.200
「ハンドルネーム?」
ロッジに向かって歩きながら、蘭は知らない言葉に首を傾げる。
「うん!ネットではみんな架空の名前で通信してるの。私は"魔法使いの弟子″…って名前で男のフリをしてたのよ!克樹さんは"レッドへリング″だったわ」
「へぇ…性別を偽ったりもするのね」
「うん。ネット上では割とよくあるみたいよ?30歳のオジサンに成り切ったりして楽しいんだ!」
「その土井塔さんの本名は何でわかったの?」
「ああ…彼とはメールも少ししてたのよ」
「へぇ…」
(ネットで知り合った人とメールしたりするのね)
普段、あまりインターネットを使わない名前は、不思議な気分になる。
「どーお?ネット上でいつも会話していた顔も知らない仲間がいきなり出会うのよ?何だか、わくわくしちゃうでしょ!?」
「そうだね、楽しそう!」
楽しそうに笑う園子と蘭に、名前も小さく微笑みを浮かべながら、ロッジへと足を向けて行った。
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「ああ…"魔法使いの弟子″さんですね?」
「あっ、は…はい。でもどうして私の事?」
ロッジに到着して一番に出迎えてくれた男性は、男のふりをして会話していたはずの園子を見た途端にハンドルネームを言い当てたため、園子は驚いて目を丸くする。
「あなたの発言を見れば分かりますよ…女の子が無理してオジサンのフリをしてるってね」
「………。」
どうやら他の参加者も"魔法使いの弟子″が女の子であるということに気付いていたようで、園子は赤面する。
「ふふ…残念だったわね、園子」
名前はクスクスと笑いながら、園子の肩をポンッと叩く。
「申し遅れました…私は、このロッジのオーナーの荒義則。ハンドルネームは"無口な腹話術師″です。彼は…今回バイトで雇った須鎌君です」
温和そうなオーナーの荒の横には、少し目つきの悪い男性が立っている。そんな2人の後ろから3人の男女が出てくる。
「俺は"消えるバニー″の浜野利也、宜しくな」
パチンとウィンクする調子の良さそうな男性。
「こんにちは…私は"イリュージョン″の黒田直子よ」
髪を2つに結った眼鏡をかけた女性。
「私は"イカサマ童子″の田中貴久恵」
「あれ…イカサマ童子さんは男性だと思ってたんですけど」
園子は小さく首を傾げる。
「あら…私は別に男性のふりをしてるつもりなかったけど?逆に私は"消えるバニー″さんの事を女性だと思い込んでたわよ」
「あ、そーお?そいつはしてやったり!」
「"してやったり″じゃないですよ!私なんか女同士だと思って、つける香水や下着の話までこの人とメールで話しちゃったんだからっ」
「ああ、あんときゃ焦ったぜ…」
黒田は、頬を赤く染めながらジロリと浜野を睨む。
「あのー…"レッドへリング″さんってまだ来てないんですか?」
園子は我慢しきれずに、土井塔の事を尋ねる。
「あぁ…彼なら2階に…」
--トントン
「あ、降りて来た、降りて来た!」
「え!?」
階段を降りてくる足音を聞いた園子は、パッと頬を染める。
「園子の王子様の登場だね!」
「ええ…どんな人かしら?」
蘭と名前は、今までは部外者のために会話に参加しなかったが、園子が夢中になっている土井塔の事が気になり2人でコソコソと耳打ちしながら覗き込む。
「あれ?もしかして"魔法使いの弟子″さんかな?僕…土井塔克樹!やっぱり女の子だったんだね」
階段から降りてきた男性は、優しそうだがぽっちゃりとした男性。残念ながら園子の期待していたイメージとは、かなり掛け離れた男性だった。
「……ふ、ははっ」
「ちょっと名前!!笑っちゃ駄目よ」
ガックリと肩を落として涙を浮かべ落ち込む園子を尻目に、ニコニコ話しかける土井塔の姿を見て、名前は我慢出来ずに笑みをこぼす。
「……ところであなた方は?」
そこで、荒が園子の後ろにいる名前達に声をかける。
「彼女に誘われてここに1泊する事になった毛利蘭です」
「同じく友人の名字 名前です」
「その見送りと送迎に来た蘭の父です」
「そうですか、そうですか。では寒いので、話しは中に入ってから」
荒は、ニッコリと笑って名前達をロッジの中へ促す。
「ねぇ…僕も泊まっちゃ駄目?」
「バーカ!!風邪ひき野郎が何言ってるんだ!?」
コナンの願いを一蹴にして、小五朗はコナンの首元を掴んで持ち上げる。
「じゃあ、娘達を宜しくお願いします」
小五郎に連れられたコナンが不服そうに帰って行く姿を、ロッジの入口で荒や黒田と一緒に蘭が見送る。
(新一…風邪引いてるから帰った方が良いんだろうけど、新一がいないと何かあった時が心配だわ)
名前は内心小さくため息をつきながら、蘭と並んで手を振っていた。