「奇術愛好家連盟事件」編
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---ブロロロ
車は雪の積もった山道を進んで行く。
「取り出しましたるは、1枚の白いハンカチ…そして真紅の紐と銀色の指輪!」
「うんうん…」
後部座席には、名前と園子と蘭の3人。園子が蘭に得意げに奇術を披露しているのを、名前は微笑んで見ていた。
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*奇術愛好家連盟事件編
「あーら不思議!!いつの間にか、指輪が紐に通っていまーす!」
「わぁーっ!」
どうやら園子の奇術は成功したらしく、蘭は驚きの声をあげる。
「すごーい!園子どうやったの?」
「秘密よ!今夜みんなの前でやるんだから!」
「そっか!今日集まるのって奇術ファンの人達なんだっけ?」
「そうそう!インターネットで知り合った仲間達、いわゆる"オフ会″ってやつよ」
楽しそうに笑う園子に、名前は3人の真ん中に座る蘭ごしに覗きこんで尋ねる。
「でも園子ったらどうしたの?突然マジックに夢中になったりして…」
「だってー!素敵な人と巡り合っちゃったんだもの!」
「「素敵な人…?」」
蘭と名前は小さく首を傾げる。
「名前は土井塔克樹さん…21歳。私が参加してるインターネットの"奇術愛好家連盟″の常連よ。丁寧な言葉遣いにウィットにとんだジョーク、そして時たまこぼれ出る気障な台詞まわし…きっと素敵な男性に違いないわっ!」
園子は僅かに目をとろんとさせながら呟く。
「あら…その人と会った事あるわけじゃないのね?」
「うん!会うのは今日が初めて。彼に今のマジックを見せて驚かせちゃうってわけ!」
「…別に驚かないと思うよ。テレビでよくやってる初歩的な手品だし」
「何よ、相変わらず可愛くないわね…」
盛り上がっていた会話に水を差すように助手席から聞こえるコナンの言葉に、園子は悔しそうに呟く。
「気にしないで…私と名前がオフ会参加するって言ったら、何か機嫌悪いのよね」
「それに…コナン君、風邪気味なんでしょ?…大丈夫?」
名前は軽くシートから身を乗り出して、最後の言葉はコナンだけに聞こえるように尋ねる。
「微妙だな…鼻がつまって頭がボーッとしやがる」
「そんな風に体調崩すの珍しいわね」
(蘭は見ず知らずの男の人もいるようなオフ会に参加するし…体調は悪いしで機嫌悪いのね)
名前は小さく苦笑する。
「そういえば、名前!」
「何…?」
ふいに園子から声をかけられて、名前はシートに座り直し園子を見る。
「…名前も私の奇術に驚かなかったわよね?もしかして、仕掛けわかったの?」
「え………あぁ、私テレビで見た事あったのよ。ごめんね?」
「なぁんだ…そんなに皆が知ってるんじゃ、今日はこの奇術はやらない方が良さそうね」
園子はガックリと肩を落とす。
「………。」
(…と言うより、いつも快斗にプロ顔負けの奇術を挨拶変わりに見せられてるから、あまり驚かないのよね)
名前は、園子の落ち込む姿を見て苦笑しながらも快斗の事をぼんやりと考えていた。