「からくり屋敷」編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
card.197
「俺…期待しちゃうよ?」
快斗の言葉の後、2人の間にはしばらく沈黙が流れる。
「…えっと、え?」
名前が目を丸くして戸惑っているのを尻目に、快斗はスッと身を乗り出して、名前の頬にふれながら自分の唇を近付けていく。
(えっ?…えっ!?)
「ちょ、っと!!タ…イム!!ストップ、まっ…待って!」
名前は支離滅裂になりながらも、快斗の口を自分の手で塞いでグイッと押し返す。
必死に制止をかけながらも、カーッと頭に血が上り、自分でも顔が真っ赤になっているのが分かった名前は、快斗の口を押さえながらも顔を見られまいと下を向く。
「「……………。」」
そして、再びシーンと静まり返る室内。
(お…怒らせたかな?)
名前は、つい咄嗟にとってしまった自分の行動に後悔する。驚いたとはいえ、雰囲気というか、ムードもなにもない拒否の仕方だったかもしれない。しかし、真っ赤な顔や気恥ずかしさ、不安が入り混じり未だに顔をあげる事が出来ない。
「クックク……」
しかし数分の沈黙を破り、小さく喉を鳴らして笑う快斗の笑い声が名前の手の隙間から漏れる。
「か…快斗?」
名前が恐る恐る顔を上げると同時に、快斗はガバッと名前を抱きしめる。
「名前ちゃん、顔真っ赤ー!!可愛いーっ!」
「ちょっと………快斗?」
つい先ほどまでの雰囲気とは打って変わった快斗に、名前は僅かに拍子抜けする。
「…名前ちゃんは見かけによらず、初なんだな」
「なっ…!」
「ったく…お前が平然と部屋に上げたりするから、俺の方が焦っちまったじゃねぇか」
「………え、」
快斗は名前を抱きしめたまま、安堵の息をつく。
「でも駄目だぜ名前。…男を部屋に招くって事は、こういう事なんだからな?ま、安心しろよ。名前の事は俺がゆっくりじーっくり女にしてやるからな」
「うん、うん」と、わざとらしく頷きながら楽しそうに呟く快斗に、名前は呆れたような目を向ける。
「それ、すごく変態っぽい言い方…もう快斗のことは、部屋に呼ばない」
「なっ…!冗談だろ!?むしろ俺以外は誰も入れるなよ!?」
名前がふざけて怒ったようにそう言うと、途端に必死に言い訳を始める快斗の変わりように、名前は小さく笑う。
「でも…本当に嫌だったら嫌って言えよ?俺、名前が嫌がる事は絶対したくねーから」
「……ありがとう。でも嫌だったわけじゃないのよ…ただ、ちょっと突然だったから驚いただけで」
名前が戸惑いながらも、必死にそう話すのを快斗は微笑んで見つめた後に、もう1度名前をギュッと腕の中に閉じ込める。
「あー、本当に可愛い」
「……。」
「今日のところは我慢するからさー、名前ちゃん…次は心の準備しておいてよ」
「……馬鹿」
快斗の言葉に呆れたように苦笑しながらも、名前は快斗の温もりに包まれたまま小さく微笑んだ。