「からくり屋敷」編
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「お…邪魔しまーす」
「はい、どうぞ?」
どこかぎこちない快斗の様子に首を傾げながら、名前は自分の部屋の扉を開ける。
パチリとリビングの電気を着けて、開けたままになっていた窓のカーテンを閉めながら、リビングで立ち尽くす快斗に声をかける。
「座る所、そこのソファでも…どこでも良いからね」
「あ、ああ」
快斗は小さく頷くと、名前が示したソファに腰を降ろした。
card.196
「快斗はあの屋敷から帰ったあと、1回家に戻ったの?」
「ああ。着替えたりしてから、待ち合わせの駅に行ったからな」
「そっか…私これ一応乾いてるけど、1回濡れた服だから…先に着替えて来ても良い?」
「あ…そうだよな」
「すぐ戻るから、適当にテレビでも見ててね」
「……おー、わかった」
---バタン
名前がリビングから出ていくと、快斗はため息をついて頭を掻きながらソファにドサリと寄り掛かる。
「…何であんなに普通なんだよ」
快斗は名前が出て行った扉をチラリと見つめて呟く。
(彼女の部屋だぞ!?しかも付き合って間もない…緊張するだろ?普通。しないのか!?俺が変なのか?)
快斗はぐるりとリビングを見渡すが、何となく手持ち無沙汰になり、テレビのリモコンに手を伸ばす。
「………。」
(…名前、大人びてるとこあるからなー。もしかして付き合うのとか初めてじゃねーとか?)
ガヤガヤと画面の中では、数人のタレントが楽しそうに笑っているが、快斗はテレビの内容などほとんど頭に入って来ない。
(と、なると…あんなに自然体でいられるって事は…前の男も名前の部屋に!?)
「快斗…」
「……ちょっと、快斗?」
名前を呼ばれてハッと振り返ると、いつの間にか戻ってきた名前が自分の座るソファの後ろに立って、怪訝そうに自分の顔を見つめている。
「どうしたの?何か怖い顔してたわよ」
「え?」
「何か変なニュースでもやってたの?」
名前はチラリとテレビに視線を向けながら首を傾げる。快斗がテレビに視線を向けると、お笑い番組をつけていたはずが、いつの間にか情報番組に変わっている。
「いや…ちょっと考え事してただけ」
「そう?それなら良いけど…快斗、何か食べる?買ってきたお弁当温めちゃおうか?」
名前は不思議そうにそう言いながらも、そのままキッチンに向かおうとするため、快斗は思わず名前の腕を掴む。
「……どうしたの?」
「この部屋、」
「……ん?」
「俺以外の男、来たことあんの?」
「え…快斗以外?そうね…新一が1~2回来ただけかしら」
「ふーん?…それって名探偵が、ガキになってから?」
「ええ…ここに引っ越したのが、確かそれくらいからだったし」
「………前の部屋は?ここの前は、関西にいたんだよな?」
「え?向こうには新一は来た事ないけど…」
「名探偵以外は?」
「え?何なのいきなり?関西の時は、両親もいたから誰も呼ばなかったわよ」
快斗はその答えを聞いて、少し考えた後に口を開く。
「…名前ってさ、」
「…うん?」
「今まで……彼氏いた事あんの?」
「……今までって快斗以外って事?」
「ああ、」
「いないけど……」
不思議そうに首を傾げながら答える名前の返事に、快斗は小さく息をつく。そして、グッと名前の腕を引いて、名前を自分の元へ引き寄せる。
「なっ……何?」
僅か数㎝の距離の目の前に快斗の端正な顔があり、名前は思わずドキリと胸が高鳴る。
「お前さー、男を…しかも付き合ってる相手を部屋に呼ぶってどういう意味分かってる?」
快斗が名前の顔を至近距離から見つめながら、ポツリと低い声で尋ねる。
「…………え、」
名前は、快斗の言葉の意味が一瞬理解出来ずに、ポカンと口を開く。
「俺……期待しちゃうよ?」