「からくり屋敷」編
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「…名前君、本当にここで良いのかね?」
江古田の駅で車を降りた名前に、運転席から阿笠が顔を出して心配そうに尋ねる。
「ええ…今日はみんな疲れてるみたいだし、早くみんなを送ってあげて」
名前は、後部座席で眠る歩美達を見ながら小さく微笑む。
「ここまでありがとうございます。私はこの後に友達と会うから…ね?」
コナンが自分をジロリと見つめている視線に気付きながらも、名前は阿笠にお礼を言いながら手を振って出発を促す。
「…それじゃ、名前君も気をつけての」
「ありがとう、博士」
---ブロロロ…
軽いエンジン音をたてて走り去る阿笠の車を名前は見送った後に、名前はくるりと踵を返して江古田駅の構内に向かった。
card.195
名前は出口に向かう人の流れに逆らって歩きながら、駅の中をきょろきょろと見渡す。
「……快斗!」
そして、伝言板の近くの壁に寄り掛かって立っている人物が目に入ると、早足で近付いて手をあげながら名前を呼ぶ。
「おぉ、お疲れー」
快斗は名前に気付いて小さく笑うと、名前の元に向かって歩いて来る。
「快斗も今日はお疲れさま」
「まったくだよ……まさかあんな所で名探偵と鉢合わせるとは…。お前は大丈夫だったか?あの後、あの名探偵に何か言われなかったか?」
「………うーん、」
「名前?」
「それは…とりあえず後でゆっくり話すわ」
「えー…何か怖ぇな。じゃあ…とりあえずまたファミレスでも行くか?」
「あら…私の部屋で良いんじゃない?何か作るわよ。快斗もあんな事のあとだから疲れてるだろうし。あの屋敷で水にも濡れたし…私も1回シャワー浴びたいから」
「…………そう?」
「ええ…それに、キッドの話とかするんだったらファミレスとか向かないでしょ」
「………まぁな」
「何よ?」
「いや……じゃあ、行っちゃうよ?俺。名前ちゃんの部屋…」
「…?さっきからそう言ってるじゃない」
「ふーん…」
快斗はしばらく何かを考えるように顎に手を当てていたが、パッと笑顔になると名前の手を取る。
そして、手を繋いだまま自分のポケットに引き込む。
「じゃあ、夕飯はコンビニで何か買って行こうぜ!名前も疲れてるだろうし、今日はコンビニ弁当で良いだろ」
「そう…確かに、その方が助かるけど…」
快斗は、急に目に見えてうきうきとし始める。名前は、そんな様子に小さく首を傾げながらも快斗の後に続いた。
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ガサガサとコンビニのビニール袋を抱えて、薄暗い道を快斗と名前は並んで歩く。
「……それよりさ、」
そんな中、快斗がふいに低い声を出す。
「お前ら、今日キャンプだったんじゃねェのかよ?」
「…そうだけど?」
「だったら何であんな屋敷にいたんだよ!?」
「それは…その場の流れというか…不可抗力?」
「ったく…」
「…そういえば、快斗…あのお婆さんの姿の時から私に何かと厳しかったわよね」
「当たり前だろ!?あんな危ねー屋敷に名前がいるのを、変装した格好で見てる俺の身になってみろよ!!オメーを見つけた時、思わず飛び出しそうになったぜ!?合流してからも、変装中だから思ったように動けねーし!」
「……。」
「それなのに、お前は相変わらず子供庇ってばっかりで…本当に気が気じゃねーよ!」
「………そうだったかな?」
「そうだよ!!…オメー、今日俺がいなかったから、あの太ったガキのために八つ裂きになってたんだぞ!?」
「……あー、はい」
「ったく…本当に無茶ばっかりしないでくれよ」
快斗は、大きくため息をついてポツリとそう呟く。
(快斗も十分…普段から危ない事ばかりしてるのにな)
名前は、そんな自分の心の中の気持ちは口には出さずに小さく微笑む。
「…快斗は心配してくれてるのね?」
名前は、冗談っぽく小さく笑いながら快斗を覗きこむ。
「当たり前ぇだろ!?」
しかし、快斗はピタリと足を止めて名前と向き合うと、思いの外真剣な表情になる。
「…………。」
「俺はオメーがいないと駄目なの!」
「………え?」
「お前が怪我したりとか…危ねー目にあったりするのはすげぇ嫌!特に、あの名探偵といると事件ばっかりだろ?俺がいないところで、知らない間に怪我してたり、何かに巻き込まれてないか、正直不安」
「……。」
快斗はそこまで言うと、小さくため息をついて再び歩みを進める。
「俺が側にいる時は、何としてでも守ってやれるけどよ。頼むからそれ以外の時は無茶しないでくれよ…」
「…………うん」
小さく独り言のように呟く快斗の言葉に、名前は快斗がそこまで自分のことを気にかけてくれていた事に、申し訳なさと同時に嬉しさを感じる。そして、何と言えばいいのか分からず、小さく返事をしながら繋がれた快斗の手を握り返した。