「からくり屋敷」編
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「御明察…よくわかったな…」
キッドの言葉に、コナンは挑戦的な笑顔で言葉を返す。
「少しせり上がった屋敷の壁…ズレて水が吹き出た地下道…カードの文句とは裏腹に盗られていない宝石。そして"取ってはならん″の、あの一言を聞けばピンと来るさ…」
card.193
「一度取ろうとして、この仕掛けに気付き…2度と誰も触れないようメッセージを残したのは婆さんで……イコール"怪盗キッド″だって事はな!!」
---パチパチ
「大正解!まぁ…盗らなかったのは、目当ての宝石じゃなかったってのもあるけどな」
キッドは、ニヤリと笑いわざとらしく拍手しながら答える。
「まぁ…約1名は俺より早くオメーの正体に気付いていたみてーだがな」
--…あの女の人は違うんじゃないかしら--
-キッドは、私達に銃を向けたりなんかしないわ--
コナンはそう言いながら、ジロリと名前に目を向ける。
「………。」
しかし名前は動揺することもなく、肩を竦めてコナンから視線を逸らす。
「…ま、それはこの間も言ったように…愛の力…じゃねぇか?」
しかしキッドが楽しそうに呟いた言葉に、名前は大きく目を見開く。
(…この間?快斗ったら、新一相手に一体どんな話をしたのよ?)
「テメー…っ!」
コナンは、眉間に皺を寄せてキッドを睨みつける。
「だから、宝探しは止めて帰ろうって言っていたんですね!」
「でもよー、俺とこの姉ちゃんを突き飛ばして剣を取ろうとしたじゃんかよ?」
コナンとキッドの間に流れる不穏な空気に気付かず、笑顔で喋る光彦。その言葉に元太はどこか納得いかないように、名前を指差しながら呟く。
「バーロー、あれは元太と名前を助ける為だよ」
「え?」
「先に入って、あの仕掛けに気付かせなきゃ…オメーら今頃八つ裂きにされてあの世行きだぜ?」
コナンの言葉を聞いて、元太はみるみる顔を青くする。
「じゃあ…歩美達が変な仕掛けに引っ掛からないように、地下で待っててくれたんだね!」
「あらあら…随分、ハートフルな泥棒さんね」
灰原は、名前とキッドを見比べて楽しそうに呟く。
「…お褒めあずかり光栄ですよ、お嬢さん?」
キッドはうっすら苦笑いを浮かべて、灰原に言葉を返す。
「まぁ…今回は、仲間を助けてもらったお礼に見逃してやるけどよ」
コナンは小さく息をつくと、キッドに向かってジロッと鋭い視線を向ける。
「いつまでも…俺が今の状況を許すと思うなよ?」
その言葉にピクリと反応して、名前はキッドを見る。
「………。」
キッドは単眼鏡ごしに名前を見つめ、小さく口元に笑みを浮かべる。
(快斗…)
「…いつか必ずお前を徹底的に調べ上げて、正体を白日の下に晒してやっからそう思え」
「ふっ…名探偵には悪ぃが、怪盗は大胆不敵で神出鬼没。観客の前で種を明かす訳にはいかないんでね!」
「…………。」
「それに…」
そこで言葉を切って小さく息をつくと、キッドはチラリと名前に視線を向ける。
「いくら名探偵でも…割って入る事はできないと思うぜ?」
「何だと…?」
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「なぁ…コナン達何の話してるんだ?」
「名前お姉さん分かる?」
元太達は不思議そうにキッドを見つめながら、2人の会話を聞いている名前の服の裾を引いて尋ねて来る。
「え…?」
名前は何と答えれば良いのか、そしてキッド達の会話も気になるため、キッドと歩美を見比べて困ったように眉を寄せる。
「……あなた達、ちょっと黙ってなさい」
しかし、それを灰原がサラリと制止したため元太達はピタッと動きを止めて口をつぐむ。
名前は灰原の言葉で元太達が静かになったことに内心感謝しながら、再びキッドに視線を移す。
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「…俺にはそれだけの覚悟があるんでね」
「オメーのその覚悟とやらに、俺が負けてるって言いてぇのか」
「ふっ……俺は怪盗だぜ?欲しい物は必ず手に入れる。そして……」
---バッ
キッドはそこで一度言葉を切ると、ハンググライダーの翼を広げる。
「………!」
「一番大切な物は2度と手放さない……どんな手を使っても…な?」
キッドはその言葉と同時に、コナンの反応を見ることなく屋根の上から飛び立っていく。
「………。」
名前は僅かに口元に笑みを浮かべながら、風に乗って飛び去っていくキッドの姿が見えなくなるまで見送った。