「からくり屋敷」編
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「よっしゃー!行くぞ!!」
屋敷に入った途端、元太は嬉しそうに駆け出して行く。そして、すぐ先にあった階段をのぼろうとする。
「ば…馬鹿!迂闊に入るな、この屋敷は絡繰吉右衛門が建てたんだぞっ!!どんな仕掛けがあるか……」
コナンの制止も間に合わず、元太は階段に一歩足をかける。
--ガコン
「…へ?」
すると、突然階段の段差がパタンと閉じて足元の床が開く。
「うわぁぁ!!」
「元太君っ!?」
坂道となった階段を滑り落ち、開いた床下に落ちそうになる元太に名前は手を伸ばす。
--ガシッ!
「…え?」
「何だガキ共…お前らも吉右衛門の宝探しか?」
しかし名前より一足先に、どこからか現れた男が元太の首元をガシリと掴んで、元太が落下するのを防いでくれたのだった。
card.187
「気をつけな!この階段はトラップだ……上に登りたきゃ、もっと奥まで行かねぇと。絡繰吉右衛門はかなりのひねくり者だ。目に見えた物を鵜呑みにして動くと痛い目に遭うぜ?」
元太を助けた大柄男もどうやらトレジャーハンターのようだ。
「…それより、お前ら妙な石を見なかったか?」
男はしゃがんで元太に尋ねる。
「…あ、それなら…」
「見てないわ」
先ほど見付けた勾玉の事を答えようとした光彦の肩にポンッと触れながら、名前がハッキリと答える。
「そうかい…嬢ちゃんが保護者変わりか?」
「ま、そんな所です」
「ふーん、まァ…見付けたら俺にも教えてくれよ」
「ええ、わかりました」
それだけ言うと、男はどんどん先に進んで行く。
「名前お姉さん、どうして嘘つくんですか?」
「元太君を助けてくれた良い人なのに…」
歩美達の不満そうな視線に、名前は困ったように微笑む。
「バーロー、良い人とは限らねぇだろ。勾玉を奪い取る気かもしれねぇし」
「もしかしたら、殺人犯かもしれないわ」
そんな歩美達に向かって、コナンと灰原がサラリと諭すように告げる。
(…この2人の方が、よっぽど保護者らしいわね)
名前は、子どもの扱いに慣れた様子の2人に小さく苦笑しながら口を開く。
「でも…今は屋敷の仕掛けに詳しそうな彼のそばにいた方がい良さそうね」
「ああ…犯人の可能性もあるからな。警察が来るまで逃がさねぇ為にもな」
コナンもその意見に賛同して小さく呟く。
---その頃
「ま…まだ先なんですか?その古ぼけた屋敷って言うのは…」
「えーと、あれ?どっちじゃったかの?」
「ちょ…ちょっと!?本当にこの道で大丈夫なんですか?」
阿笠は2人の警官を屋敷に案内しようと森の中を歩き回っていたが、似たような景色のため迷ってしまっていた。
---屋敷
絡繰吉右衛門の屋敷は厄介で、落とし穴のように見える穴は上に上がるエレベーター仕掛けがあり…上に行こうとすると下に、下に行こうとすると上に行く仕掛けになっていた。
名前達はギギギギ…と、古びた音を鳴らしながら上昇する床板に乗りながら上の階に進んでいく。
---シュッ!!
すると、上の階に上がりきったところで、突然どこからかナイフが飛んできて元太の真横の壁に突き刺さる。
コナン達が驚いてナイフが飛んできた方向に目を向けると、短髪の女性が手にナイフを持ちながら怪しげな笑みを浮かべている。
「あらあら…子連れのトレジャーハンターさんなんて珍しいわね?」
「このガキ共は俺の連れじゃねぇが…そちらもガキ相手に刃物はどうかと思うぜ?」
「馬鹿ね…よく見てみなさいよ。ナイフの先…」
「ど…毒蜘蛛!?」
女の言うように壁に刺さったナイフを見ると、ナイフの先には不気味な色をした蜘蛛が潰れている。
「そんな蜘蛛を離しているなんて…吉右衛門ってよほど捻くれもので意地悪だったのね」
灰原は潰れた毒蜘蛛を見てため息をつく。
すると、名前の足元では歩美達が何やらコソコソと話しはじめる。
「あのお姉さんがキッドかなぁ?」
「キッドって男だろ?俺を助けてくれたおっさんじゃねーのか?」
「女性にも変装するって聞きましたけど…」
「………。」
(確かに…快斗がもうここにいるなら、すでに誰かに化けてる可能性もあるんだけど…)
「…あの女の人は違うんじゃないかしら」
名前は子ども達の会話につられるように、無意識にポツリと呟く。
(快斗だったら…子供相手にナイフなんて使わないわよね…きっと)
名前は自分が漏らした小さな呟きを、少し先を歩いていたコナンが聞いていた事に気が付かなかった。