反応編
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「…だからさ、」
ふいに真面目なトーンになった快斗の声につられて、名前は快斗の方に視線を向ける。
「だからさ…俺に何かあった時には、ジィちゃんを頼ってくれよ」
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「え?」
「俺はさ目的を…巨大宝石を見つけるまでは、怪盗キッドを辞めるわけにはいかねェんだ」
「……。」
「だから…これからもまた連絡がつかないような事になったり、何か危険な目に合うかもしれねーだろ」
あっけらかんとそう話す快斗の言葉を聞いて、寺井も小さく眉を寄せる。
「だけど…お前にとって"怪盗キッド″は、もう会いたくても会えないような…連絡も取れないような…そんな遠い存在じゃねェからさ」
「!!」
--キッドは危険な目に合ってるのに、会いたくても会えない、連絡も取れないような"キッド″の事をずーっと心配してなきゃならない--
「……快斗」
「これからも、心配かけちまうかもしれねーけどさ。ジィちゃんには事前に仕事の詳細をちゃんと伝えておくし、俺も名前をなるべく悲しませねーように頑張るからさ」
「……うん」
「ほっほっほ」
見つめ合う2人の間に響いた楽しそうな笑い声に、2人はハッと我に返る。そして、すぐそばに寺井がいたことを思い出して気まずそうに視線をさ迷わせる。
「さて、お2人とも何かお飲みになりますか?」
そんな2人を微笑まし気に見つめながら、空気を変えるように寺井がそう尋ねてくれる。
2人はその気遣いに感謝しつつも、それぞれ飲み物を頼んで小さく息をつく。
「そういえば…私、快斗に謝らなくちゃならない事があるの」
そして、戸惑いがちに名前は小さく呟く。
「え、何だよ?」
「快斗の正体は他の人にバレないように、気を使ってたつもりだったんだけど…」
「?」
「快斗の事を…っていうか、怪盗キッドの事をある人に相談してた時にね…私の不注意でキッドの正体は…私の学校の人かもしれないって気付かれちゃって」
「まさか名探偵か?」
「彼になんかあなたの事を相談しないわよ」
「…そりゃそうか」
快斗は、自分の事を敵対視しているコナンの姿を思い出して苦笑する。
「灰原哀って小学生…分かるかしら?」
「ああ…あのよく名探偵と一緒にいる、大人びた感じの茶髪の子?」
「そう」
「あの子、名探偵に負けじといろいろ鋭そうだもんな」
「………。」
(快斗って、哀の事はどこまで知ってるんだろう?)
コナンが新一であることは、名前が快斗と出会った時点で既に知っていた快斗。
しかし黒の組織や新一が今の状態になった経緯は知っているのだろうか?
名前は、新一と怪盗キッドの曖昧な関係を思い出して、改めて疑問に感じる。
「ま、仕方ねーよ。…あの子、オメーの大事な友達なんだろ?」
「ええ、そうだけど…」
怪盗キッドの事を安易に相談してしまい、申し訳なく思っていた名前に対して、快斗は思いの外軽い調子で答える。
「だったら良いじゃねーか。オメーも相談相手くらいいた方が、いろいろ溜め込まなくて良いだろ?」
自分の正体を知る人間が増えてしまうかもしれないというのに、大して気にもしないように話す快斗に名前は目を丸くする。
「快斗がその優しさで、いつか身を滅ぼさないか心配だわ…」
「バーロー、"お前″だから優しくしてんだ」
「それは……感謝してます。ごめんなさい」
名前は自分の不注意で灰原に不必要な事を話してしまったことを、改めて謝罪しながら頭を下げる。
「ったく、だから気にしなくていーって。だいたい、俺がそう簡単に捕まるわけないだろ?」
「はは…相変わらず凄い自信」
楽しそうに笑い合う2人を、カウンターの奥で寺井は嬉しそうに微笑みながら見ていた。