反応編
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card.180
「…快斗、どこに行くの?」
午前中の授業を終えた名前は、行き先を告げられないまま快斗に連れられてどこかに向かっている。
「んー?良いとこ」
「?」
名前は行き先を言おうとしない快斗に眉を寄せながらも、黙ったまま快斗に連れられて足を進める。
「ここ、ここ!!」
見慣れない路地を通り抜けた後に、快斗はある1つの店の入口の看板に手をかける。
「…ブルーパロット?」
名前は、入口にある看板を確認してそこに記された店の名前を呟く。しかし、そうしている間にもグイグイと手を引く快斗によって、あっという間に店の中へと連れ込まれる。
「よぉ!ジィちゃん連れて来たぞ!」
「わぁ……素敵なお店」
名前は店の中に置かれているビリヤード台や店内にかかるBGMの選曲など、洒落た雰囲気のある店内の様子を見て小さく呟く。
「それはありがとうございます、お嬢さん」
すると、名前の呟きが聞こえたのか、カウンターにいる初老の男性に声をかけられて、名前は慌てて小さく頭を下げる。
「名前…ほら、ここ座れよ」
快斗は慣れた様子で店の奥に進んで行くと、ポンポンとカウンターのスツールを叩く。
「これ、ジィちゃん」
名前が促されるままに腰を降ろすと、快斗はカウンターに立つ男性を指してそう口を開く。
「え…快斗のおじいさん?」
「違ぇよ…名前が"寺井″なんだよ」
「初めてまして、名前さん。寺井黄之助と申します」
(寺井さん…それで、"ジィちゃん″ね)
「初めまして。名字名前です。……あれ?私の名前、」
「ぼっちゃんからお噂は聞いておりましたから。それに実は、私は名前様にお目にかかるのは初めてじゃありませんので」
「え?」
「黄昏の館での帰りに、あなた様が無事バスに乗るまで見守りたいという、ぼっちゃんに付き合って茂みからあなた様の事を……」
「おい、ジィちゃん!余計な事は言わなくていいからっ!」
快斗はあの日の事をいきなり持ち出されて、慌てて寺井の言葉を遮る。
「…………。」
名前は、そんな2人を呆然と見つめる。
「あの…快斗?」
「ん?」
「いろいろ聞きたい事はあるんだけど…」
「おお?」
「寺井さんは…快斗がやってる…あの…」
「ああ!…怪盗キッドの事だろ?大丈夫、大丈夫!知ってるよ」
名前が戸惑いがちに言葉を選びながら尋ねているのを尻目に、快斗はアッサリと答える。
「あ…そうなの」
(…そういう大事な事は、先に言ってほしいわ)
「俺が怪盗キッドしてる理由は、この間お前に話しただろ? 」
「ええ」
そう…あの漆黒の星の事件があった夜。正体を明かしてくれた快斗は、自分が怪盗キッドとなってある宝石を狙っている理由。そして、快斗のお父さんである黒羽盗一さんの身に起こった事を、順を追って丁寧に話してくれたのだ。
「ジィちゃんは、昔は俺の親父の付き人だったんだ」
「え?」
「だから親父がキッドをやってた時からの協力者」
「………。」
名前は、ニコニコと微笑みを浮かべる寺井を見ながら目を丸くする。
(確かにキッドの仕事は、快斗1人じゃどうしようもない時もあるから、協力者がいる事には驚かないけど…)
名前が1人で納得したように頷くが、それにしても目の前で微笑む穏やかな雰囲気の初老の男性が、まさか協力者だったとは意外である。
そんな事を考えていると、隣に座る快斗が真剣な表情になって口を開いた。