「漆黒の星」編
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「今日は名前嬢に話があって来ました」
俺がそう言うと、名前は小さく肩を震わせた。
card.176
(快斗視点)
「あなたを危険な目に合わせたくない」
俺がそう切り出すと、名前はジッと床に視線を向けたまま黙り込む。
「…必ず危険が付き纏います。だから、」
「キッド、」
俺の言葉を遮るように、小さな声で呟いた名前。俺が一度言葉を切ると、名前は苦し気に眉を寄せて話始める。
「もう…聞きたくないわ…そんな答えなら、私は…聞きたくない」
涙を零しながらそう告げる名前の姿。快斗は、胸が鷲掴みにされたような感覚に陥る。
(俺は…名前を悲しませて、泣かせてばかりだ)
「泣かないでください」
涙を流す名前に、何と言えば良いか分からずに口から出たその言葉。泣いている名前を慰める事も出来ない情けなさに、快斗は心の中で小さくため息をつく。
「私は、どうしても今日名前嬢に私の話を聞いてほしい」
俺の言葉に戸惑いながらも、小さく頷く名前。
「……危険な目に合わせないためには……あなたに私の事を教えるわけにはいかないのです。……ですが、」
そこで俺は言葉を切る。
本当に、本当に名前を巻き込んでしまって良いのか?自分の正体を明かすことで、余計な重荷を背負わせることになるのではないか?と、これまでも散々迷ってきた。
だけど、自分のことを想って涙を流す名前の姿を見て溢れだしてくる名前への愛しさを痛感し、もう覚悟を決めてその迷いを頭の中から消し去ってしまう事にする。
スッとシルクハットとマントに手をかけて、静かに自分の素顔を顕わにする。
未だに下を向いたままの名前は、変装を解いたことに気付いていないようだったが、しばらくすると名前は何も話さない俺を不審に思ったのか、ゆっくりと顔を上げて俺に視線を向ける。
「……え?」
夢を見ているのかというように目を真ん丸くする名前。いつも大人びている名前の、その顔があまりに可愛いらしくて、こんな状況なのに快斗は胸が高鳴るのを感じる。
「だけど、それでも…オメーを、オメーの事を離したくないって思う俺は、最低…だな」
そう呟いた俺の言葉に、名前の瞳からは堰を切ったように更に涙が溢れてくる。
「俺は…お前が好きだ。…お前が危険な目に合うかもしれないって分かっていても…だ。俺は、お前の事を諦められねェ。…もし、名前が嫌だったら……っと!」
名前に自分の気持ちを伝えておいて、今さらだったが急に自信がなくなって、逃げ道を作るようにそう言葉を続けてしまう。すると、突然名前が俺に抱き着いてきて、俺は驚きながらも名前の身体を抱き留める。
「忘れたの?言ったじゃない…私は…あなが怪盗でも構わないからここに来たのよ?って」
(そういえば…いつだって、名前は俺のために危険に飛び込んできた。…怪盗キッドの心配をして、いつだって俺を想ってくれていたんだな)
「私は最初から、快斗と一緒にいられれば…あなたが怪盗だろうと、どんな危険に巻き込まれようと、何があっても快斗と一緒なら構わないわ」
ぼんやりと名前との今までの思い出を思い浮かべていた所に、サラリと名前が放った言葉を聞くいて、快斗の顔に一気に熱が集まる。
(……こいつは!!何で…こう言う事を平気で言いやがるんだっ…!?)
快斗は、顔に集まる熱と照れを隠すように名前を強く抱きしめる。
嬉しそうに自分の腕の中で微笑みを浮かべる名前の姿に、快斗の表情もつられて自然に綻んでくる。
--危険を承知でぼっちゃんに会いにきてくださったんでしょう?--
--事実を知らなければ守れないものもありますよ。…1人くらいはいても良いと思いますよ。自分の全てを知っていてもらいたいと思うお相手がね--
(…ジィちゃん、確かにその通りだったな)
快斗は、まるで怪盗キッドの時のようにゆるりと口角を上げて微笑む。
(もう絶対に離さねぇ、)
そして、腕の中の名前を更に強く抱きしめてそう誓ったのだった。
*漆黒の星編fin.
俺がそう言うと、名前は小さく肩を震わせた。
card.176
(快斗視点)
「あなたを危険な目に合わせたくない」
俺がそう切り出すと、名前はジッと床に視線を向けたまま黙り込む。
「…必ず危険が付き纏います。だから、」
「キッド、」
俺の言葉を遮るように、小さな声で呟いた名前。俺が一度言葉を切ると、名前は苦し気に眉を寄せて話始める。
「もう…聞きたくないわ…そんな答えなら、私は…聞きたくない」
涙を零しながらそう告げる名前の姿。快斗は、胸が鷲掴みにされたような感覚に陥る。
(俺は…名前を悲しませて、泣かせてばかりだ)
「泣かないでください」
涙を流す名前に、何と言えば良いか分からずに口から出たその言葉。泣いている名前を慰める事も出来ない情けなさに、快斗は心の中で小さくため息をつく。
「私は、どうしても今日名前嬢に私の話を聞いてほしい」
俺の言葉に戸惑いながらも、小さく頷く名前。
「……危険な目に合わせないためには……あなたに私の事を教えるわけにはいかないのです。……ですが、」
そこで俺は言葉を切る。
本当に、本当に名前を巻き込んでしまって良いのか?自分の正体を明かすことで、余計な重荷を背負わせることになるのではないか?と、これまでも散々迷ってきた。
だけど、自分のことを想って涙を流す名前の姿を見て溢れだしてくる名前への愛しさを痛感し、もう覚悟を決めてその迷いを頭の中から消し去ってしまう事にする。
スッとシルクハットとマントに手をかけて、静かに自分の素顔を顕わにする。
未だに下を向いたままの名前は、変装を解いたことに気付いていないようだったが、しばらくすると名前は何も話さない俺を不審に思ったのか、ゆっくりと顔を上げて俺に視線を向ける。
「……え?」
夢を見ているのかというように目を真ん丸くする名前。いつも大人びている名前の、その顔があまりに可愛いらしくて、こんな状況なのに快斗は胸が高鳴るのを感じる。
「だけど、それでも…オメーを、オメーの事を離したくないって思う俺は、最低…だな」
そう呟いた俺の言葉に、名前の瞳からは堰を切ったように更に涙が溢れてくる。
「俺は…お前が好きだ。…お前が危険な目に合うかもしれないって分かっていても…だ。俺は、お前の事を諦められねェ。…もし、名前が嫌だったら……っと!」
名前に自分の気持ちを伝えておいて、今さらだったが急に自信がなくなって、逃げ道を作るようにそう言葉を続けてしまう。すると、突然名前が俺に抱き着いてきて、俺は驚きながらも名前の身体を抱き留める。
「忘れたの?言ったじゃない…私は…あなが怪盗でも構わないからここに来たのよ?って」
(そういえば…いつだって、名前は俺のために危険に飛び込んできた。…怪盗キッドの心配をして、いつだって俺を想ってくれていたんだな)
「私は最初から、快斗と一緒にいられれば…あなたが怪盗だろうと、どんな危険に巻き込まれようと、何があっても快斗と一緒なら構わないわ」
ぼんやりと名前との今までの思い出を思い浮かべていた所に、サラリと名前が放った言葉を聞くいて、快斗の顔に一気に熱が集まる。
(……こいつは!!何で…こう言う事を平気で言いやがるんだっ…!?)
快斗は、顔に集まる熱と照れを隠すように名前を強く抱きしめる。
嬉しそうに自分の腕の中で微笑みを浮かべる名前の姿に、快斗の表情もつられて自然に綻んでくる。
--危険を承知でぼっちゃんに会いにきてくださったんでしょう?--
--事実を知らなければ守れないものもありますよ。…1人くらいはいても良いと思いますよ。自分の全てを知っていてもらいたいと思うお相手がね--
(…ジィちゃん、確かにその通りだったな)
快斗は、まるで怪盗キッドの時のようにゆるりと口角を上げて微笑む。
(もう絶対に離さねぇ、)
そして、腕の中の名前を更に強く抱きしめてそう誓ったのだった。
*漆黒の星編fin.