「漆黒の星」編
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「……快、斗?」
名前は目の前に立つ快斗の姿を信じられないというような表情で、まじまじと見つめる。
快斗はそんな名前に一歩歩みよると頬にそっと触れて、名前の頬に流れる涙を指先て優しく拭った。
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「…名前」
快斗は、名前を真っ直ぐ見つめる。
「俺は…お前が好きだ」
「!!」
「お前が危険な目に合うかもしれないって分かっていても……だ。俺は、お前の事を諦められない。……だけど、もし名前が嫌だったら……っと!」
快斗の言葉を遮るように、名前は快斗に勢いよく抱き着く。そして快斗を見上げるようにして口を開く。
「…忘れたの?私、あの時言ったじゃない?」
「…え?」
「私は……あなたが"怪盗″でも構わないからここに来たのよ?って」
「ー!!」
快斗は、黄昏の館で名前に言われた言葉を思い出す。
「私は、最初から快斗と一緒にいられれば…あなたが怪盗だろうと、どんな危険に巻き込まれようと……何があっても快斗と一緒なら構わないわ」
「お前…は、本当に…!」
快斗は名前の言葉に深く眉を寄せると、力強く名前を抱きしめ返し、名前の肩に顔を埋めて、大きく息を吐き出す。
「悪かったな…お前を何度も泣かせちまって」
「ふふ…もう良いわ」
名前は、嬉しそうに笑いながら快斗の胸の中で答える。何度も怪盗キッドを追いかけて泣いたけれど、今こうして快斗の心音を間近に聞きながら、快斗の体温に包まれていることが名前は嬉しくて、クスクスと零れる笑いが止まらない。
快斗もまた、そんな名前の嬉しそうな姿に優しい微笑みを浮かべて、名前を抱きしめ返した。
「……それにしても、」
しばらくお互いの気持ちを確かめ合うように抱き合っていた快斗だったが、ふいに先程までの雰囲気と打って変わり不機嫌そうな表情で名前の顔を覗き込む。
「…あの三船って野郎はなんなんだ?」
「え?」
「"俺の名前″に何度も馴れ馴れしくしやがって…!!本当は何度文句を言おうと思ったか!」
急にいつもの調子に戻り、大袈裟に語り始めた快斗に名前は小さくため息をつく。
「…快斗、あなた蘭の姿で三船さんに余計な事言ったんでしょ?」
「ん?」
「三船さん…あの時の蘭が、怪盗キッドの変装だって気付いてたわよ」
「…うぇ!?」
快斗はその言葉に目を丸くする。
「変装中に余計な事言ったら危ないじゃない…」
「いや…余計な事じゃねェ!怪盗キッドの時だろうと何だろうと、名前にちょっかい出すような野郎には釘さしておかねェと!!」
「……あら、三船さん結構良い人だったわよ?」
「おいおいおいっ!!」
「それに快斗が無事に逃げだせたのは、ある意味では三船さんのおかげでもあるんだし」
「うっ、そうだけど……くそっ」
名前がどこか楽しそうにそう言うと、快斗はうんざりした様子で肩を落としたのだった。