「漆黒の星」編

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名字
名前

「今日は、名前壌に話があって来ました」



キッドの言葉に、名前は小さくため息をつく。

「……改まってそう言われると、何だか聞くのが怖くなるな」

名前は動揺する自分の気持ちを隠すように、おどけたように小さく呟いた。


card.174

「…名前嬢」

「…何?」

「私はあなたを危険な目には合わせたくない」

「……。」

「私と一緒にいるという事は、私の側にいるという事は…必ず危険が付き纏います」

「……ええ、そうね」

「だから……」


「キッド、」


キッドの言葉を遮るように、名前はハッキリとした口調でその名を呼ぶ。


「もう…聞きたくないわ」

「……。」

名前は小さく呟く。

「…そんな答えなら、私は…今さら聞きたくない」

名前の瞳からポロリと一筋の涙がこぼれる。危険だから、関わるべきではない、そんな言葉は今まで散々聞かされてきた。毎回その言葉を盾に、深入りさせてもらえなかった。

「…名前嬢、」

「………。」

「泣かないでください」

「……ごめんなさい」

「私はどうしても、今日名前嬢に私の話を聞いてほしい」

「……そう」

名前は、キッドの要求に眉を寄せながら小さく頷く。


「……。」

キッドはそんな名前をしばらく見つめた後に、小さく息をついて再び口を開く。

「……あなたを危険な目に合わせないためには、私はあなたの元にいるわけにはいかない。そして、あなたに私の事を教えるわけにはいかないのです」

「……。」
(…どうして今さらこんなにハッキリと聞かされなくちゃならないのかしら)

下を向いてキッドの言葉を聞いている名前の瞳には、じわじわと涙が溢れる。



「ですが…」




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そこでふいに言葉が途切れるキッド。
気まずい空気の中どれくらいたったのだろうか。下を向いていた名前が、何も言わないキッドを不審に思いそっと顔を上げる。



「…………え?」




「…だけど。それでも…オメーを……オメーの事を離したくないって、誰にも渡したくないって思っちまう俺は、最低……だよな」




「…っ!!」



名前はその言葉と、目の前に立つ人物の姿に小さく息をのむ。


月明かりに照らされ、先程までキッドが立っていたその場所には…名前の目の前には、いつの間にか変装を解いて、困ったような笑みを浮かべる黒羽快斗が立っていたのだ。
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