「漆黒の星」編
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マンションの部屋に着いた頃には、もうすっかり夜になっていた。
名前は部屋の電気も着けずに、服も着替えないままドサリとソファに腰を降ろす。
「………疲れた、」
(…何か勢いでいろいろ口走っちゃったけど)
名前はチラリと机の上の携帯に視線を向ける。
「何にも…返事がないって事は、フラれちゃったかしら」
名前は、自嘲気味に笑うと片手で顔を覆ってソファに身体を埋めた。
card.173
---コン、
----コンコン
「…………?」
------コンコン
窓の外から聞こえる小さな音に気付いた名前は、ソファから身体を起こして首を傾げる。いつの間にか寝てしまっていたようで、身体が硬くなっている。
「……何?」
名前は眉を寄せながらゆっくりとリビングの窓に近づく。ここは、マンションの7階だ。さすがに変質者ということはないだろうが。そんな事を考えながら、少しためらいつつもゆっくりとカーテンを開ける。
「…え、」
カーテンを開けると、そこにはまばゆい月明かりに照らされて…輝く白い人物。
「な、ん…で?……キッド?」
そこには月明かりの下、白い衣を靡かせて口元に笑みを浮かべる怪盗キッドの姿。
しばらくその姿を呆然と見つめていた名前だったが、ハッと気付いて窓の鍵を開けてカラカラ…と、窓を開ける。
「夜分遅くに失礼しますよ…お嬢さん?」
窓を開けると、サァーっと穏やかな風が吹き込みキッドの衣と一緒にカーテンがふわりと揺れる。
そしてキッドが口元の緩やかな孤を崩さぬまま、そう呟いて室内に足を踏み入れる。
「今日…は、大変だったみたいね…?」
名前は、動揺する自分を押さえ付けて冷静にキッドに尋ねる。
「ええ…あの名探偵の彼には、いつも苦労させられていますが。今回は、名前嬢のお陰で助かりましたよ」
「……そう?それなら良かった」
名前は小さくため息をくと、前髪を掻きあげながら困ったような笑みをキッドに向ける。
「……その姿で今日ここに来たって事は…それがあなたの答えなのかしら?」
名前はキッドを真っ直ぐ見つめたまま尋ねる。
「………。」
しかし、キッドは何も答えないため、名前は小さくため息をつく。
そして、僅かに緩んできた涙腺に力をこめながらキッドを見る。
「そうなんでしょ?怪盗キッドさん…?」
「…今日は、名前嬢に話があって来ました」
僅かに視界が緩む中、目の前に立つキッドから真剣な声に乗せてその言葉が名前の耳に届いた。