「漆黒の星」編
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「…大丈夫か?」
会場が真珠の爆発騒動で大騒ぎになっている頃、名前は三船と空いていた客室で身体を休めていた。
card.167
「はい…人込み抜けたら落ち着いたみたい、迷惑かけてごめんなさい」
(情けない…怪盗キッドが側にいるっていうのに。)
名前は何のためにパーティーに参加したのか…と、内心ため息をつきながらも、隣に座る三船に微笑んで言葉を返す。三船はそんな名前を見つめた後に、少し考えて口を開く。
「お嬢ちゃん…怪盗キッドの正体知ってるんだろ?」
「え?」
突然の思いがけない問いに、名前は誤魔化す事も出来ずに目を見開く。
「今キッドが化けてるのは、あの毛利探偵の娘…だろ?」
「三船さん…何を言って…」
突然の三船の言葉に名前は小さく息をのみ、うまく言葉が返す事が出来ない。そんな名前を三船は優しく見つめながら言葉を続ける。
「俺がお嬢ちゃんと真珠の話しをしてた時、あの子がお前を呼びに来ただろ?」
「ええ…」
「……お嬢ちゃんが友達の所に戻った後、あの子は俺の事を睨んでこう言ったんだ」
「…"貴方が誰なのか知りませんけど、名前にちょっかい出すのやめてもらえませんか?"ってな…」
おどけたように軽く頭を掻きながら呟く三船の言葉に、名前は僅かに目を見開く。
「…おかしいよな?お嬢ちゃんは知らねーかもしれないが、俺はあの子と以前ある事件で会った事があるからな」
--…ああ…前に事件でちょっとな--
「……で、でもそれだけじゃ…ただ忘れてただけかもしれないわ」
「いや…あの時、あの言葉の奥にある感情を俺は波っきりと感じたよ。それが何だか分かるか?」
「…感情?」
「"嫉妬″だ」
三船の言葉に、名前は驚いて言葉を失う。
「…変装中の怪盗キッドが、見ず知らずのお嬢ちゃんのために、わざわざ言わなくても良いあの台詞を俺に言うのはおかしいだろ?普通だったら変装してる時に、不審に思われる言動は極力避けるはずだ」
「………。」
「…だとしたら、考えられるのは怪盗キッドはお嬢ちゃんの知り合いで、馴れ馴れしくお嬢ちゃんに話しかけている俺の事が許せなかったんだろ」
「………三船さん、」
「そして、あの余興で偽のキッドが撃たれてからどうも様子がおかしいお嬢ちゃんは…演技とはいえ、血に染まったキッドの姿に動揺してしまった。…だとしたら2人は……」
「三船さん!」
名前は、三船の言葉を遮り三船をジッと見つめる。これだけ正確に言い当てられてしまい、何と答えれば良いのか分からないが、これ以上三船にこの話を続けさせるわけにはいかない。
「…そんな顔すんな、別にバラしたり言い触らすつもりはねぇよ」
三船はあっさりと立ち上がると、ポンッと名前の頭を優しく叩く。
「……そんな顔させるなら言わなきゃ良かったな」
「………。」
「俺はお前が不利になるような事はしねーから安心しろよ。心配なんだろ?あの怪盗が。俺はこう見えても一応社長だからな、それなりに融通が効くし…何か困ったら言えよ」
「……なぜ?」
名前は三船を見上げて小さく尋ねる。
「なぜ三船さんは、私なんかにそこまで…?」
「さぁな…」
三船は小さく微笑むと、机に小さなカードを置いて部屋の入口に向かう。
「俺は戻るから、とりあえずお前は落ち着くまでここにいろよ」
---パタン
三船が出て行った扉を見つめ、名前は張り詰めていた身体の力を抜くように大きくため息をついた。
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*後書き
なぜか三船さんの夢小説みたいになってしまって申し訳ありません。一応、話の展開は元々の構想通りです。
しかし私がマイナーではありますが、三船拓也というキャラクターを気に入っている影響で、予想外にでしゃばりました。三船さん知らない人いるかな?