「漆黒の星」編
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「あ、蘭!」
名前から少し遅れて園子達の所に戻ってきた蘭に、名前が声をかける。
「園子…私の事、呼んでないみたいなんだけど?」
「うん」
「…え?」
「それより…一緒に何か食べ物取りに行きましょう」
「え、うん…いいけど」
なぜかスルリと腕を組まれ、蘭と共に料理の並ぶテーブルに向かう。名前は、蘭の不思議な言動に小さく首を傾げた。
card.162
「えー、警視庁の茶木です!」
名前と蘭が料理を見てまわっていると、舞台で茶木警視がマイクを握る。
「もう耳にされた方もおらると思いますが、あの忌ま忌ましい怪盗が本船に侵入した様です。ご存知の通り変装の達人!!常識では計れない悪才の持ち主です…もしかしたら既に奴はあなた方の中に混ざってるかもしれません!」
--ザワザワ…
茶木の言葉に客達は困惑した表情で辺りを見渡す。
(確かに…キッドのあの変装凄いわよね。身近な人に化けられても、なかなか分からないもんな)
名前は今までキッドが変装している時に出会った相手との会話をぼんやり思い出す。小五郎や白鳥に化けていた時も、かなり長い時間行動を共にしたのに全くわからなかった。
「…奴が次から次へと変装出来ないように、皆さん側にいる方とペアを組んで2人だけの合言葉を決めてください!」
(合言葉か…確かにそうすれば、キッドは今化けている人物から次の人に化けるのは難しいわね)
名前は、ぼんやりと茶木の言葉を聞きながら小さくため息をつく。
「…名前、合言葉何にしようか?」
そんな名前に、隣にいる蘭が楽しそうに尋ねて来る。
「うーん…そうね」
名前は、どこか心に違和感を感じて口ごもる。合言葉を決めなければいけない理由は重々承知しているのに、なぜか気が進まないのだ。
「……名前?」
「…あ、合言葉ね…何が良いかしらね…」
(茶木警視の案、キッドの特技の1つである変装を封じる良い提案よね。こんな閉ざされた環境なのに、快斗大丈夫かしら)
「………。」
眉を僅かに寄せて黙りこむ名前を、蘭はキョトンとしてしばらく見つめたあとに、ゆるりと口元に笑みを浮かべる。
「…名前、もしかしてキッドの事を心配してるの?」
「え?」
「ふぅん…そっかそっか!」
「ちょ…っと、蘭?」
ニヤニヤと楽しそうに笑う蘭に名前は困ったように反論しようとすると、それを遮るように急に会場の電気が落ちる。
----フハハハ!!
「え…?」
電気が消えたのと同時に突然何者かの笑い声が会場内に響く。
名前は、その笑い声に反応して辺りを見渡す。
すると、突然天井の隅からシューッと白い煙りが立ち込め、そこにスポットライトが当たり、白い煙りとともに天井下の窪みに足をかけ、まるで宙に浮いてるかのようなに見える人影が現れる。
「「かっ…怪盗キッド!?」」
(……え?)
周りの客達がザワザワと声をあげる中、名前はシルクハットに手を添えて不敵な笑みを浮かべる人物をジッと見上げた。