「漆黒の星」編
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--4月19日横浜港
「中止してください!!茶木警視!相手は怪盗キッドですぞ!鈴木財閥のパーティーだか何だか知りませんが…万全の備えもなしに、あんな簡単な検査で通った輩を宝石に近づけるわけにはいきませんっ!」
港では怪盗キッドのいる所にこの人あり…中森が大声をあげている。
「まぁ…そう言うな、中森君。今夜パーティーに参加する人達は各界の著名人ばかり。あまり手荒な検査も出来ないのだよ」
「……しかし、」
「それに、怪盗キッドに恐れをなしてパーティーを中止したとあっては、我々警察の面子にも関わる。まあ心配するな…船が横浜港を出て東京港に着くまでの3時間…ここは洋上の監獄だ!例え奴が潜入していても、袋の鼠だよ……」
card.159
「わぁ!名前…素敵なドレスね!!」
鈴木財閥主催のパーティーとあって、皆正装で出席している。
名前も、アイスブルーのドレスを纏い、髪も珍しくアップにまとめて出席している。
「ありがとう…こんな大きなパーティーだからね。唯一持ってるドレスなの。蘭も綺麗な深紅のドレスね」
「ありがとう!私も久しぶりに着るから、招待されてから急いでクリーニングに出したのよ」
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「あっ…園子のお父さんの挨拶始まるみたい!」
名前と雑談していた蘭が、ふと舞台に目を向ける。
「…我が鈴木財閥も今年で早や60周年…これもひとえに、皆様のお力添えの賜物でございます。今夜は、こそ泥の事など忘れて…船上パーティーをごゆるりとお楽しみください……」
「…その前に、」
挨拶を終えようとした鈴木会長の後ろから、園子の母である鈴木朋子がスッと出てくる。
「今夜は特別な趣向がこらしてあります…乗船する際に皆様にお渡ししたこの小さな箱…さぁ、お開けください」
園子の母の言葉に、名前は乗船時に渡された小箱を取り出して開ける。
---パカッ
「…これって!」
名前が箱の中身を見て僅かに目を見開いて呟くのと同時に、園子の母が再び口を開く。
「…それは愚かな盗賊へ向けた私からの挑戦状。そう!!我が家の象徴であり怪盗キッドの今夜の獲物でもある…"漆黒の星″ですわ!!」
乗客達は箱から宝石を取り出して、覗きこんだり光りに翳してみたりしている。
「…もちろん、本物はただ1つ。それを誰に渡したかを知っているのも私1人。後は全て精巧に造られた模造真珠というわけです…さぁ皆様!それを胸にお着けください!そしてキッドに見せ付けてやるのです。盗れるものなら盗ってみなさいとね!!もちろん…船が洋上にいる3時間の間にどれが本物なのか、彼に判別出来たらの話ですが…」
園子の母の言葉に、会場からは笑いがこぼれる。
「やるじゃない!園子のお母さん!……園子?」
蘭は隣でなぜかキョロキョロしている園子に首を傾げる。
「見当たらないのよね姉貴の姿が…」
「え…お姉さんいないの?電話してみたら?」
「うん…そうだね」
名前の言葉に、園子もバッグから携帯を取り出す。
「もしもし……え?まだ家にいるの!?今、何時だと思ってるのよ!」
『で…でも警視さんから出港を遅らせるって電話が………ね?お父さん』
「えっ!?そこにパパいるの?」
「ーっ!?」
園子の言葉に、コナンと名前は息をのみ舞台に視線を戻すが、先程までそこにいたはずの鈴木会長の姿が見えない。
(ヤ、ヤロォ!!)
コナンは会場のスタッフに、会長がトイレに行った事を聞き出すと、ダッと会場から飛び出していく。名前は後を追うことはせずに、黙ってその背中を見送る。
(今行っても…もう変装は解いてるわね、きっと。それにしても…あんなに堂々とスピーチしてたのが快斗だったなんてね)
名前は、苦笑しながら先程の鈴木会長の姿を思い浮かべた。