「世紀末の魔術師」編

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ザアァァァ…

降りしきる雨の中、新一は探偵事務所を後にしようとする。

「…待てよ!怪盗キッド!!」

しかし、後を追ってきたコナンに呼び止められてピタリと足を止めた。


card.151


「まんまと騙されたぜ…まさかあの白鳥刑事に化けて船に乗って来るとはな…」

足を止めた新一は振り返らないため、コナンは新一の姿をした怪盗キッドの背中に向かって語りかける。

「………。」

キッドは新一の表情のまま、柔らかな笑みを浮かべてコナンの言葉を黙って聞いている。


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---警視庁

取調室では目暮と高木がスコーピオンである、青蘭の取り調べをしている。

--ガチャリ

「…お!白鳥君!今回はお手柄だったな!!」

そこへ扉を開けて入ってきた白鳥の姿を見て、目暮と高木は笑顔を浮かべる。

「……何の事です?私はたった今、軽井沢から戻って来たところですが…?」

「………はぁ?」

きょとんとした白鳥の台詞に、目暮はわけが分からないという表情で首を傾げた。



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--ピィ!

キッドが小さく口笛を吹くと、バサバサと羽音をたてて、事務所にいた鳩が窓から舞い降りて新一の姿をしたキッドの肩に止まる。

「お前…分かってたんだな。あの船の中で何かが起きる事を…」

「確信はなかったけどな…一応、船の無線電話は盗聴させてもらったぜ…」

新一の顔でニヤリと笑いながら話すキッドは、話を続けながらもポンッ、ポンッと、何処からか鳩を出して自分の肩に次々と止まらせていく。

「もう一つ…お前がエッグを盗もうとしたのは、本来の持ち主である夏美さんに返すためだった…」

「………。」

「お前はあのエッグを作ったのが、香坂喜市さんで"世紀末の魔術師″と呼ばれていた事を知っていた…だから予告状に使ったんだ」

「ほーう……他に何か気付いた事は?」

余裕そうな笑みを浮かべたまま、身体に止まる鳩を増やし続けながらキッドは尋ねる。

「…夏美さんの…ひいおばあさんが、ニコライ皇帝の3女、"マリア"だったって事を言ってんのか?」

「…。」

「マリアの遺体は見つかっていない…それは銃殺される前に喜市さんに助けられ、日本に逃れたから。2人の間には愛が芽生え赤ちゃんが産まれた…しかし、その直後に彼女は亡くなった。喜市さんは、ロシアの革命軍からマリアの遺体を守るために、彼女が持ってきた宝石を売って城を建てた。こうしてマリアの遺体はエッグと共に秘密の地下室に埋葬された…そして、もう1個のエッグには城の手がかりを残した。…子孫が見つけてくれる事を願ってな…と、まあこう考えてみればすべての謎が解ける…」

そこで言葉を切ったコナンに、チラリと視線を向けてキッドは口を開く。

「君に1つ助言させてもらうぜ…世の中には、謎のままにしておいた方が良い事もあるってな!」

「…確かにそうかもしれねぇな」

「じゃあ…この謎は解けるかな?名探偵…なぜ俺が"工藤新一″の姿で現れ、厄介な敵である君を助けたのか…」

「バーロー、そんなもん謎でも何でもねーよ…お前が俺を助けたのは、その鳩を助けたお礼…だろ?」

コナンの呆れたような言葉に、キッドはつまらなそうに肩をすくめながらため息をつく。

「それより………」

コナンがふいに低い声を出す。


「………オメーに1つ聞きてェ事がある」
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