「世紀末の魔術師」編
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「それにしても、とうとう現れなかったか…キッドの野郎」
小五郎はため息混じりに小さく呟く。
「キッドさん、やっぱり死んじゃったのかなあ…」
コナンは、小五郎達から離れた場所に座る名前に目を向けた後に口を開く。
「いや…奴は生きてたよ」
「え?」
その言葉に歩美は小さく目を見開くが、離れた場所でぼんやりと城を見つめている名前には届かなかった。
card.148
「…名前」
ふいに名前を呼ばれて名前は視線を城からゆるりと逸らす。
「哀……」
「…車で東都に戻るそうよ」
「…そう」
「どうしたのよ?」
「…何だか…力が抜けちゃって。事件は終わったのに……終わったのに…」
そこまで言うと、続きの言葉が出て来ずに視界が緩むのを感じる。名前は顔を覆い、ため息をつきながら空を見上げる。
結局、事件は解決しても、エッグが二つ揃っても怪盗キッドは現れず、未だに快斗からの連絡もない。
「…しっかりしなさい。工藤君まだそこにいるのよ?…隠したいんでしょ?」
「………。」
総てを見透かすような灰原の台詞に、名前は苦笑しながら両目を乱暴に拭う。
「そう…ね」
名前は弱々しく微笑む。
「車内…工藤君と一緒で大丈夫なの?」
「平気よ。哀ありがと…」
「………。」
灰原は、名前の横に並び皆が少しずつ乗り込みはじめている車に向かっていく。
「おい…名前、」
車に乗り込む手前で、まだ残っていたコナンが名前を小声で呼び止める。
「……何?」
「ちょっと話が……」
「新一ごめんね。今日は少し疲れたから、また今度」
しかし、名前はそれだけ言うとコナンの制止も聞かずに車に乗り込んでしまう。
「………。」
コナンは、そんな名前の姿にため息をつきながら続いて車に乗り込む。
名前は東都までの数時間、一言も発せず窓の外の景色だけを見つめていた。