「世紀末の魔術師」編
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「まるで卵の中にいるみたい…」
階段を降りてたどり着いた広間。その独特の形をした部屋を見た歩美が、不思議そうにポツリと呟く。
(…何だこれ?)
コナンは広間の真ん中に立てられた、細長い台に触れながら首を傾げた。
card.140
広間に備え付けられていた古びた蝋燭に明かりを燈すと、広間の奥に大きな箱が置かれているのが見える。
「…柩のようですね」
「それにしてもでっかい南京錠だなぁ」
小五郎が柩についた鍵に触れながら呟く。
「あっ!夏美さんあの鍵!」
「…え?そっか!!」
コナンの言葉を聞いて、ハッと思い出して夏美は鞄から鍵を取り出して柩の鍵に差し込む。すると、ガチャリと鍵が開く音が響く。
「この鍵だったのね…」
「開けてよろしいですか?」
「は…はい」
小五郎は夏美に断ってから、ゆっくりと柩を開ける。
「……!?」
「遺骨が一体…それにエッグだ!エッグを抱くようにして眠っている」
「夏美さん…この遺骨は?」
「…多分、曾祖母のものだと思います。横須賀に曾祖父の墓だけあって、ずっと不思議に思っていたんです。もしかすると、ロシア人だったために先祖代々の墓には葬れなかったのかもしれません」
「……。」
シーンとしてしまった雰囲気の中で、セルゲイが口を開く。
「夏美さん…こんな時にはと思いますが、エッグを見せていただけないでしょうか」
「はい…」
「……ん?カラッポ?」
夏美からエッグを受け取ったセルゲイは、エッグをパカリと開けるが中には何も入っていない。
「どういう事だ?」
「そんな馬鹿な…」
「それ…マトリョーシカなの?」
周りで見ていた青蘭達も驚いたように目を見開くが、そんな中で歩美が足元から尋ねる。
「何だ、マトリョーシカって?」
「人形の中に小さな人形が次々入っているロシアの民芸品です」
首を傾げる小五郎に、名前が簡単に説明する。
「…確かにそうかもしれません。見てください、中の溝は入れたエッグを固定するためのもののようです」
「くそっ!あのエッグがありゃ確かめられるんだが…」
セルゲイの言葉を聞いて、小五郎が悔しそうに呟く。
「エッグならありますよ…」
「!?」
突然の思いがけない言葉に、一同は驚いて声がした方に目を向ける。
皆の視線を尻目に、声の正体である白鳥はゴソゴソと鞄の中からエッグを取り出す。
「こんな事もあろうかと、鈴木会長から借りて来たんです」
「お前…黙って借りてきたんじゃねぇだろうな!?」
「や…やだなぁ、そんなハズないじゃありませんか」
小五郎が訝し気に白鳥に詰め寄るが、セルゲイは冷静に「とにかく試してみましょう」と、声をかける。
--カチッ
「ピッタリだ……」
「つまり喜市さんは2個のエッグではなく、2個で1個のエッグを作ったんですね」
ぴたりとはまった2つのエッグを、コナンは顎に手を当てながら見つめる。
「不満そうね?」
そんなコナンに灰原が声をかける。
「ああ…あのエッグには、何かもっと仕掛けがあるような気がしてならねェ…」
コナンはエッグを見つめたまま考えを巡らす。
「ーっ!!」
そしてふいに何かを思いついたのか、セルゲイに駆け寄る。
「セルゲイさん、そのエッグ貸して!」
「またコイツはっ!!」
コナンの行動に小五郎は眉を寄せるが、白鳥がそっと小五郎を制する。
「まぁまぁ待ってください毛利さん!…コナン君、何か手伝う事は?」
「ライトの準備を…」
コナンはエッグを受け取ると、広間の中央にあった細長い台にライトを入れるよう白鳥に頼む。
「…セルゲイさん、青蘭さん!蝋燭の光を消して!」
コナンの指示通り、2人はフッと蝋燭の火を消していき広間は真っ暗になる。
「……コナン君一体何をするの?」
名前は不思議そうにコナンに尋ねるが、コナンはニヤリと笑いながらまぁ見てて…と、呟いた。