「世紀末の魔術師」編
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--プルルル
「あ、博士?俺だけど…大至急調べてほしい事があるんだ!」
「何?右目を撃つスナイパーじゃと?分かった、調べてみる…10分後にまた電話をくれ!!」
電話BOXで阿笠に電話をかけたコナンは、腕時計を見て10分か…と、小さく呟いた。
card.128
「ーっ!?」
電話BOX内で時間をつぶしていたコナンは、ふいに鋭い視線を感じて慌てて廊下まで駆け出すが、そこには誰もいない。
「気のせい…か?」
コナンは険しい表情のまま電話Boxへと戻っていき、どこか納得のいかない表情のまま阿笠に電話をかけ直す。
「博士どうだった?」
「わかったぞ!新一!…I・C・P・Oの犯罪情報にアクセスしたところ、年齢不詳・性別不明の怪盗が浮かんだ!」
「怪盗…?」
「その名はスコーピオン!!」
「スコーピオン!?」
コナンは初めて聞くその名前に眉を寄せた。
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(名探偵は阿笠とかいう博士と電話してたが…名前はどこに行ったんだ?)
怪盗キッド扮する、"白鳥警部補"は僅かに焦ったような表情を浮かべながら、キョロキョロと辺りを見渡す。
「ーあ、」
甲板に出てみると、欄干にもたれ掛かり海を見つめる名前の姿が目に入る。そっと名前に近付いていくと、小さな足音に気付いたのか名前はくるりと振り返る。
「白鳥さん…?」
月明かりに照らされた名前の表情に、白鳥は小さく息をのむが平静を装い微笑む。
「名前さん…まだ銃を持った犯人がうろついているかもしれませんよ。…こんな所で何を?」
「あ、すみません。少し考え事を」
名前は視線を海へと戻して小さく呟く。
「考え事ですか…犯人についてですか?」
「……。」
名前は質問には答えずに、困ったよう視線をさ迷わせる。
「…名前…さん?」
「…この広い大海原の下に、たった1人の人間のなんて…きっとちっぽけな存在なんでしょうね」
「え…?」
「例えそのちっぽけな存在が、私にとって…何よりも大切な存在だったとしても」
「!!」
白鳥は名前の言葉にピクリと反応するが、名前はそこまで言うと小さくため息をついて何かを堪えるように空を見上げる。
「ごめんなさい…変な事を言って。ちょっと知り合いと連絡が取れなくて」
「…そうなんですか?何度も連絡しているんですか?」
「いえ、1度だけなんです」
「え?」
「おかしな話ですけど…その人が、私の電話には必ず出るって言ってくれたのに…2回目もまた繋がらなかったら、私………」
名前は、そこまで言ってハッと小さく息をのんで白鳥を見る。
「ごめんなさい…事件で忙しいのに、わざわざ探しに来てもらった白鳥さんにこんな話しちゃって」
我に返ったように謝罪する名前の言葉に、白鳥は困ったような曖昧な微笑みを浮かべる。
「…ラウンジに戻りますね。こんな場所まで捜しに来てくれてありがとうございます」
名前はそう言うと、ラウンジに向かい歩いていく。
「……。」
白鳥はそんな名前の後ろ姿をジッと見つめる。
(俺"怪盗キッド"の事…あんなに心配してくれてるのか…)
不謹慎ながらも快斗はどこか嬉しい気持ちを感じるが、それと同時に名前の辛そうな表情を見て申し訳ない気持ちになる。しかし、この場で正体を明かすわけにもいかない快斗は、何も言うことはできない。
(携帯…あの時海に落としちまったから、ジィちゃんに頼んで修理に出してるけど。どっちにしろ、この事件が片が付くまで名前とは連絡取れねーよな)
--知り合いと、連絡…とれなくて--
月明かりに照らされた名前の泣きそうな表情が頭に浮かび、キッドは白鳥の姿で小さくため息をつくと、ラウンジへと足を進めた。