「世紀末の魔術師」編
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「ありがとう…すぐ用意しますから、ちょっと待ってください」
青蘭を誘いに来た園子とコナンにそう告げると、青蘭は部屋の扉を開けたまま室内に戻っていく。
card.123
「…ん?」
コナン達は、ふと机に置かれた写真立てが目に入る。
「グリゴリー…?」
コナンと園子の位置からは、写真立ての裏側しか見えないが、裏には英語で"グリゴリー"と記されている。
「あ…!もしかして、そこにあるのは彼の写真ですか?」
園子の質問に、青蘭はピクリと反応すると、パタンと写真立てを伏せる。
そして「ええ…まぁ…」と、曖昧に頷いて言葉を濁す。コナンは、そんな様子に小さく首を傾げていた。
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「じゃあ…夏美さん、二十歳の時からずっとパリで暮らしてるんですか?」
青蘭も加わり、集まった女性陣とコナンは蘭の部屋でお茶をしながら雑談を交わしている。
「そうなの…だから時々変な日本語を使っちゃってね……あ、変な日本語って言えば…子供の時から妙に耳に残って離れない言葉があるのよね…」
「へぇ…何て言葉なんですか?」
「"バルシェ、ニクカッタベカ″」
「え…?」
「多分、"バルシェは肉を買ったかしら″って意味だと思うんだけど、そんな人の名前に心当たりないのよね。私のまわりに方言を使う人もいなかったはずだし」
そんな話を聞いていたコナンが、夏美の顔を見てふと口を開く。
「あれぇ?夏美さんの瞳って…」
「そう、灰色なのよ…母も祖母も同じ色で…多分曾祖母の色を受け継いだんだと思う…」
夏美の話を聞いていた名前は、ふと思いついたように青蘭の顔を見る。
「…そういえば、青蘭さんの瞳も灰色ですね?」
「……!」
コナンはピクリと反応して青蘭を見つめる。
「あっ…本当だ!中国の人も灰色なのかな?」
名前の言葉を聞いて、園子がそう呟くが、青蘭はニコリと微笑むだけで言葉は出さない。
「あの…青蘭さんって、私と同じ歳位だと思うんですけど…」
そんな中、夏美が青蘭に微笑みながら尋ねる。
「はい。27歳です…」
「やっぱり!何月生まれ?」
「5月です…5月5日」
「え?私、3日なの!2日違いなのね!」
思わぬぐうぜんに嬉しそうに笑う夏美の横で、ふいにコナンが笑顔で口をひらく。
「じゃあ、2人共僕とは1日違いだ!」
「!?」
(え?1日違いって…5月4日?新一と一緒じゃない。まさか…コナン君…)
コナンの言葉にピリピリと反応し、考え込んでしまう蘭。
名前は紅茶に口をつけながら、チラッと蘭の強ばった横顔に目を向ける。
(新一の馬鹿…普段は自分の誕生日なんてスッカリ忘れてるくせに)
名前は小さくため息をつく。名前の視線の先には、呑気に笑顔で夏美達と会話するコナンと、そんなコナンに疑惑の目を向ける蘭の姿。
(さて…何とかごまかせると良いんだけど)
名前は疑惑の目を向ける蘭に少し申し訳ない気持ちになりながらも、新一の秘密がばれない事を小さく祈るのだった。