「世紀末の魔術師」編
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ザザーッと、波を切って進む船の一室。蘭が白い鳩にくるくると包帯を巻き直していくのをコナンは横で見守る。
「うん!…出血は止まったし…傷口が塞がれば、また飛べるようになると思うわ」
「本当?良かった!」
card.122
--コンコン
「はーい。……え?」
ノックの音に反応し、蘭がガチャリと部屋のドアを開けると、そこにはビデオカメラを構えた寒川の姿。
「いーねぇ、その表情いただき!」
そう言いながら、スタスタと立ち去っていく寒川。どうやら、いろんな部屋をああして撮影しながらまわっているようだ。そんな寒川をコナンは呆れたように見送る。
「はぁい!蘭、遊びに来たよ!」
寒川が去って行った反対側の廊下から、園子に声をかけられて蘭がくるりと振り返る。
「名前と、夏美さんに西野さんも…さ、どうぞ!」
「お邪魔します…」
蘭に促されてゾロゾロと園子達が部屋に入ってくる。
すると急に人数が増えた事に反応したのか、窓際のバスケットの中にいた鳩がバサバサと羽を動かす。
「あっ…僕やっぱり遠慮します!」
それと同じタイミングで部屋に入りかけた西野が、突然ダッと勢いよく出て行ってしまう。
「あらァ?…美女ばかりで照れたのかしら」
園子はニヤニヤと笑いながらそんな西野を見送る。名前とコナンは突然出ていってしまった西野に首を傾げるが、園子はそうだった!と小さく声をあげて、コナンの手をグイッと引く。
「…え、どうしたの?園子姉ちゃん」
「もう1人の美女連れて来るの忘れてた。行くぞ、おチビちゃん!」
蘭は、「青蘭さんの事ね」と、頷きながら園子とコナンを見送った。
「蘭…あれは…?」
そんな中、名前は窓辺に置かれたバスケットをジッと見つめる。
「ああ、コナン君に頼まれて手当てしたの。キッドの鳩らしいけど」
「……。」
(あの時の鳩…蘭に手当てを頼んだのね)
ぼんやりと蘭の話を聞きながら、名前は鳩に手を伸ばす。
「…名前?」
キッドの鳩を愛おしそうに抱き抱える、寂しそうな名前の横顔を蘭は不思議そうに見つめていた。