「世紀末の魔術師」編
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「私の曾祖父は喜市と言いまして、ファベルジェの工房で細工職人として働いていました。現地でロシア人の女性と結婚し、革命の翌年に2人で日本に帰り曾祖母は女の赤ちゃんを産みました」
船内にいるのは、大阪で鈴木会長の部屋に集まっていたエッグに執着するくらい一同。
そしてその中心で話をするのは、鈴木会長に面会を求めていた香坂夏美という女性だ。
「ところが間もなく曾祖母が死亡。その9年後に曾祖父も45歳の若さで亡くなったと聞いています」
「その赤ちゃんというのが…?」
「私の祖母です。私の祖父と両親は私が5歳の時に亡くなりまして…私は祖母に育てられたんです」
「その大奥様も先月亡くなられてしまいました」
夏美の言葉を引き継ぐのは、面会を求めてきた時に一緒にいた執事の沢部である。
「今回…私が鈴木会長にお会いしたかったのは、私が祖母の遺品を整理していましたら…曾祖父が書いたと思われる古い図面が出てきたんです」
真ん中が破れてしまっているんですが…と、言いながら差し出された図面を一同は覗きこむ。そこには、鈴木財閥が所有するエッグとよく似たエッグの図面が記されていた。
「確かにメモリーズ・エッグだが…この図面に書かれたエッグには宝石がついているな」
小五郎が不思議そうに首を傾げる側で、コナンはジッと図面を見つめたあとに口を開く。
「…ねぇ、もしかしたら卵は2つあるんじゃない?」
「え…?」
「だってホラ…一つの卵にしちゃ、輪郭が微妙に合わないじゃない?本当はもっと大きな紙に2個書いてあったのに、真ん中の絵が破れてごっそりなくなってるんだよ!」
「なるほど…」
そんな話をしている中で、名前はぼんやり図面を見つめる。
(…エッグが2つあるなら…もしかしたらキッドがもう1度そのエッグを狙うかしら)
図面を見つめていた視界が僅かに歪んでくるのに気付いて、名前はグッと手を握りしめて込み上げてくるものを押さえ付ける。
そんな名前の足元に、コロンと何かが転がってくる。
「……何やってるのよ、新一」
机の下に入り落ちた物を拾おうとしているコナンに、名前は小声で呆れたように声をかける。
「いや…エッグをいじってたら底についてた鏡が外れちまってよ………ん?」
コナンが手にした小さな鏡を手に持ちながら苦笑するが、ふいに鏡の違和感に気付いて鏡を覗きこむ。
「新一…それって…!」
「ああ!……西野さんっ、部屋の明かりを消して!!」
コナンのいきなりの申し出に、西野は戸惑いながらも部屋の明かりを消す。
「コナン!お前は一体何をして…………あっ!?」
コナンの突然の行動に怒りだす小五郎だったが、コナンはそれ無視して鏡に光りをあてて壁に向ける。
小五郎はその壁を見て、怒るのを忘れて目を見開いた。