「世紀末の魔術師」編
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ザァァ…と、突然降り始めた雨に打たれながら、それにも構わずにフラフラと歩き続ける。
大阪にいる限り、自宅に帰るわけにも行かない。
(どこに…行けば良いのかしら)
名前は行くあてもなく、ただひたすら歩き続けた。
card.118
「……。」
結局たどり着いたのは、宿泊するために予約していたホテルだった。
(個室で良かった…)
ホテルに来るまで蘭達にも会わずに部屋に辿り着けた名前は、ガチャリと扉を閉めたあとに、そのままズルズルとその場に座り込む。
--キッドが狙撃された--
コナンの言葉が、頭に何度もリピートされるように響き続ける。
名前は、震える手で携帯を取り出す。
雨に濡れて冷たい指先。
指先の震えが止まらず、うまく操作が出来ないが震える手で1つの番号を表示する。
--ピッ
---プルル、プルルル…
鳴り響くコール音を目をギュッと閉じたまま聞き続ける。
--ガチャ、
「ーっ!快………!」
『只今電話に出る事が出来ません。ピーッと鳴りましたら御用件を……』
「………。」
名前は留守番電話のメッセージが流れつづける携帯をパタリと床に置いて、頭を抱えて入口の扉にもたれながらうずくまる。
濡れた髪から雨の雫が顔に流れ、瞳から溢れ出る涙と混ざり合う。
--お前の携帯には、何のために俺の番号が入ってるわけ?--
「…嘘つき……」
--名前からの電話には必ず出るからよ--
「嘘つき…」
--それで、すぐに駆け付けてやるよ。--
「快斗…快…斗」
名前は快斗の名前を呟きながら肩を震わせ続ける。
それから何時間たっても、いくら待っても、快斗から折り返し着信が来る事はなかった。