「世紀末の魔術師」編
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(あれは?……え、事故?)
「…平次!?」
突然、前方に見えた人だかり。名前が不審に思いながら近付いていくと、その人だかりの中心である車道に倒れている平次の姿が目に入る。名前は慌ててバイクを止めると、倒れている平次の元に駆け寄った。
card.116
「平次!!」
「なんや名前か………おいおい!お前なぁ…女の癖にそないなもん乗りまわすなや」
平次は自分が乗っていたバイクと同じようなバイクに乗って現れた名前を見て、思わず小さなため息をつく。
「…平次もしかして転んだの?大丈夫?」
「おー、平気や。ぶっかりそうになって俺が勝手に転けたんや」
キッドを追っていた途中でトラックと接触しかけたため、それを避けようとして転倒してしまったらしく、少し離れた位置に倒れている平次のバイク。
見た目からは大きな事故に見える。しかし車道に座りこんではいるものの、いつものように軽口をたたく平次に、名前は小さく安堵の息をつきながら平次の全身を軽く確認する。
(…大きな怪我はなさそうね)
「…大丈夫や、軽い捻挫やろ。今このおっちゃんらが救急車も呼んでくれたみたいやし」
「そう、良かった…新一は?」
「工藤ならスケボーで、キッドを追って行ったで」
「そ…う、スケボー持ってたのね」
平次が指をさした方向を名前はジッと見つめて呟く。
平次はそんな名前の横顔をしばらく見つめた後に、肩をすくめて小さく微笑む。
「…名前」
「…何?」
平次に呼ばれて、名前はようやく視線を平次に戻す。
「早よ行けや…気になるんやろ」
「……。」
「俺は工藤ほど頭硬いつもりはないで……お前が、そんな必死になるんやったら…それなりの理由があるんやろ?」
「……何の事?」
名前は平次の言葉に小さく息を飲んだあと、誤魔化すように平次から視線をそらす。
「…言いたないんなら言わんでええから早よ行け。このままじゃ間に合わへんぞ」
そんな名前を見て、平次が呆れたようにそう言いながら、軽く名前の背中を押す。
「平次…ありがと」
名前は小さく微笑んだ後に、再びバイクに跨がりドルン…と、大きな音を立てて走り去っていく。
「……。」
平次はそんな名前の後ろ姿を、ジッと見送っていた。