-鈴木近代美術館


｢うわー！凄い警戒ね｣

｢まさに、蟻のはい出る隙もねぇって感じだなー｣

リムジンから降りた蘭と小五郎は、美術館の厳重な警備体制に驚いて呟く。

｢あったり前よ！相手はあの怪盗キッド様！何たって彼は………｣

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｢神出鬼没で変幻自在の怪盗紳士…｣


｢！？｣

キッドの事を嬉しそうに話していた園子の台詞を突然遮るように、背後から聞こえて来た声に名前達は驚いて振り返る。


｢固い警備もごっつい金庫も…その奇術まがいの早業でぶち破り、オマケに顔どころか、声から性格まで完璧に模写してしまう変装の名人ときとる。ホンマに面倒臭い奴を敵にまわしてしもたな……工藤！｣


そこにはバイクに跨がりニヤリと笑う"西の探偵"服部平次と、その後ろでヘルメットを外している遠山和葉の姿があった。

｢また…こいつか、｣

小五郎はため息をつくが、その後ろで蘭が困ったような顔をする。

｢もう…何で服部君はいつもコナン君の事を工藤って呼ぶの？｣

｢あースマン、スマン。こいつの目のつけどころが工藤によう似とるんで、ついそう呼んでしまうんや…｣

そう笑いながら答える服部に、コナンはいい加減にしろというように呆れたような視線を向ける。


｢この調子じゃ、いつバレるか分からないわね？｣

名前はクスクス笑いながらコナンに耳打ちすると、うるせーと睨まれる。




｢それにしても、名前ちゃん久しぶりやね！｣

平次の後ろからヒョッコリと顔を出した和葉は名前に声をかける。

｢ホンマやで！名前！東京の高校に転校して向こうで1人暮らししとるんやってなぁ！｣

｢うん。和葉ちゃんと平次も久しぶり！久しぶりに2人に会えて嬉しいわ！｣

名前は2人にニッコリと微笑みながら、簡単に近況を伝える。
名前が以前関西に両親の都合で関西にいた頃に、事件現場であって以来何となく意気投合した3人。平次達とは違う学校だったものの、東京に転校する事になるまでは何かと一緒に行動する機会が多かったのだ。



｢ねぇ…彼が"西の高校生探偵"の服部平次君？結構いい男じゃない！｣

名前と平次達が楽しそうに会話しているのを見ながら、平次と初対面となる園子は蘭にコソコソと尋ねる。

｢ダメダメ！服部君には幼なじみの和葉ちゃんがいるんだから！｣

｢あー、うん。それは見ればわかるわよ…あの2人、新一君と蘭にそっくりだもん｣

｢……え？｣

蘭は園子に言われた言葉に目を丸くして平次達を見つめる。そして、まだ新一が事件だと言って姿を消す前、当たり前のよう一緒に高校に通っていた頃の様子を思い浮かべるのだった。